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  1. 山口県議会 2022-06-01
    06月14日-03号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 4年 6月定例会   令和四年六月山口県議会定例会会議録 第三号      令和四年六月十四日(火曜日)  ────────────────────        議事日程 第三号      令和四年六月十四日(火曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第十四号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第十四号まで                会議に出席した議員(四十六人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(一人)                          髙   瀬   利   也 君                                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       近 藤 和 彦 君                    総合企画部長      松 岡 正 憲 君                    産業戦略部長      前 田 安 典 君                    環境生活部長      藤 田 昭 弘 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      高 橋 博 史 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      京牟礼 英 二 君                    財政課長        安 藤 公 浩 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        今 村 政 裕 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        木 村 香 織 君                    公安委員長       弘 田   公 君                    警察本部長       中 西   章 君                    代表監査委員      河 村 邦 彦 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員会事務局長   大 田 淳 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        國 吉 宏 和 君                    事務局次長       原 田 和 生 君                    総務課長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課長      岡 本 正 敏 君                    政務企画室長      國 弘 敏 和 君                    秘書室長        植 木 啓一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          佐 伯 和 樹 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第十四号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 江本郁夫君。    〔江本郁夫君登壇〕(拍手) ◆(江本郁夫君) おはようございます。令和四年度六月議会の一般質問のトップを取ります自民党会派の江本でございます。 質問に入ります前に一言申し上げます。 昨日の我が党の代表質問において、吉田議員からもありましたように、我が国をめぐる安全保障環境は非常に厳しいものであり、憲法改正を含め、国民の命と安全を万全なものとする体制整備を早急に進めなくてはならないとの吉田議員の言及に、私も大方の議員の皆様と同様、賛同する者の一人であります。 現在、私自身は、昨年五月より県議会の拉致議連の会長を仰せつかっておりまして、この場にて、最近の拉致被害者を救う動きについて少しお知らせしたいと思います。 まず、拉致被害者の会──正式に申し上げますと、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、この会につきましては、設立されたのは一九九七年三月でして、その会長は長い間、御存じのように横田めぐみさんのお父様の横田滋さんがお務めになっておられましたが、その横田さんは一昨年の六月お亡くなりになりました。 二○○七年に横田さんの後をお受けになられたのが、拉致された田口八重子さんのお兄さんである飯塚繁雄さんですが、その飯塚さんも昨年末、八十三歳というお年でお亡くなりになりました。 現在は、横田めぐみさんの弟さんの横田拓也さんが会長をお務めであります。 このように拉致被害の親の世代の方々が、実際にはどんどんお亡くなりになっているという現状がありまして、この問題の一刻も早い解決が急がれるわけであります。 拉致被害者を救う大きな運動としては、全拉致被害者即時一括帰国を求める国民大集会というものがあります。 この大会には、拉致被害者を救う全国レベルでの様々な団体の参加があり、これまで春と秋と年二回開催されていました。 コロナ禍の影響で一昨年は延期や中止、昨年は春の大会については中止になっておりましたが、秋の大会につきましては、コロナ被害も若干収まってきたこともあり、十一月十三日の土曜日、久しぶりに東京にて開催され、私も行ってまいりました。 ちょうどその折は、第二次岸田内閣が発足したばかりでもあり、私自身、前日の十一月十二日には外務省に参りまして、就任されたばかりの林外務大臣にお会いし、拉致問題の早期解決についても強くお願いをいたしたところであります。 十三日の大会当日には、岸田総理自らお越しになり、総理自ら、拉致問題解決に全力を尽くす旨の意志が力強く表明されました。 現在、国会議員による拉致被害者を救う議連の事務局長に、我が県の北村経夫参議院議員が就任されておられます。 今年の三月十一日には、昨年末お亡くなりになった飯塚繁雄さんをしのぶ会が執り行われ、私も参加いたしましたが、岸田総理も参加され、改めて国を挙げて拉致被害者を救うことが確認されたところです。 そして、去る六月五日日曜日、今年度の春の大会が開催され、私と幹事長の新造議員とで参加いたしました。今回は、櫻井よしこさんが司会進行を務められまして、岸田総理も参加される中、大会宣言が採択されるなど、これまでになく力強い催しとなりました。 私自身、国においては、拉致被害者を絶対に救うという強い意志を持って今後もこの問題解決に向け、これまで以上に動き出したという印象を持ちました。 議員の皆様におかれましては、どうぞ拉致被害者を救う国レベルでの活動は、現状このような状況であることを十分に踏まえていただきまして、日頃より県民の方々と接触する機会には、ぜひこの青バッジをつけていただいて、広く拉致被害者をこのままにしておく理不尽さについて言及いただき、この問題が決して風化することのないよう、平素よりお努めいただきますようお願いを申し上げまして、通告に従い一般質問に入りたいと思います。 初めに、ウクライナ避難民への支援についてお尋ねします。 ここ数か月、ロシアによるウクライナ侵略の惨状が報道されてきました。爆撃により我が子を失った母親、家族の埋葬すらままならず、破壊された町で立ちすくむ遺族、国を守る父親を残し隣国に避難する幼い子供たち、こうした絶望にも似た現状に、強い憤りと深い悲しみを禁じ得ないのは、私だけではないと思います。 ロシアの暴挙は、一刻も早く止めなければならず、我が国もG7の一員としてロシアに対し断固とした制裁措置を取り続ける覚悟が必要であることは、申し上げるまでもありませんが、我々地方においても、窮地に立たされているウクライナ国民に思いを致し、できる限りのことをしていくというメッセージを発していくことが必要です。 とりわけ、ウクライナから戦火を逃れた七百万人を超える避難民を、我が国にも受け入れていくことは、地方自治体や民間としてできる具体的な支援であり、何よりのメッセージであると考えます。 本年四月に林外務大臣ポーランドへ赴き、政府専用機で避難民を受け入れたことを皮切りとして、既に千人以上の方が住み慣れた母国を離れ、遠い日本の地に避難しておられます。破壊されてしまった故郷に帰ることは難しく、日本での生活を第二の人生と考えてスタートされた方も多くいらっしゃると伺っています。 本県においても、現在四名の方が避難し、山口県での新たな生活を始めておられますが、こうした方々に行政としてできる支援を丁寧に届けていかねばなりません。 今定例会に提出された補正予算では、こうしたウクライナ避難民受入れに関する経費が計上されており、私としても知事の対応を高く評価しているところですが、より行き届いた支援のためには、外国人住民の支援を行う県内の様々な支援団体と連携して体制を整えることも重要です。 また、国では、ポーランドウクライナ避難民支援チームを設置し、我が国への受入れをさらに進めており、県においても、こうした国や市町、団体と連携し、今後もウクライナ避難民の受入れに取り組むと同時に、県として受入れ体制を整えているという発信もしっかりとしていかなければならないと考えます。 そうした連帯のメッセージを示していくことが、地方としてもロシアの暴挙に抗議の意思を突きつけ、ウクライナ国民を励ます一助になると思うのです。 そこでお尋ねします。ウクライナから本県に避難されている方に寄り添い、必要な支援を迅速かつ円滑に届けていくために、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水素の社会実装に向けた取組の強化についてお尋ねします。 水素は輸送、発電、産業など様々な分野での脱炭素化に寄与する、カーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギー源です。 また、ウクライナ情勢などを踏まえ、エネルギー安全保障の確保が重要となる中、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の社会実装の加速化が一層求められています。 県では、早くから、コンビナート苛性ソーダ工場から副生される水素に着目し、平成十六年には、水素フロンティア山口推進構想を策定され、全国初の試みとなる水素の一般家庭での実証試験を行うなど、クリーンエネルギーとしての利活用を推進してこられました。 その後、平成二十五年には、全国で三番目となる液化水素製造工場が周南市で稼働、平成二十七年には、中四国で初の水素ステーションが同じく周南市で開業するなど、水素社会の実現に向けた基盤づくりを着実に進めるとともに、水素関連機器等技術開発支援による産業振興にも取り組んでこられました。 こうした中、先日、私の地元山陽小野田市に本社を置く長州産業の米国法人がカリフォルニア州ランカスター市と水素分野で提携を結んだという報道を目にしました。 報道によると、同社が開発を手がけた太陽光発電による電力で水素を生成・供給するための発電機MizTomo(ミズトモ)と水素ステーションSHiPS(シップス)のセットを、令和五年春を目途にランカスター市に納入し、さらに令和七年までに同市内に発電機や水素ステーションなどの組立て工場を設置するとのことです。 この水素ステーションSHiPSは、長州産業が平成二十九、三十年度に県の補助金を活用し県内十二の企業とともに開発したものであり、地元企業のアメリカでの新たな事業展開を大変喜ばしく思っております。 しかしながら、一方で、少し複雑な心境も抱いています。と申しますのも、この製品の導入は、一件目が長野県、このたびのランカスター市が二件目となります。県内事業者が、県の補助金を活用し開発した製品であるにもかかわらず、残念なことに、県内ではいまだ活用されていないのです。 また、七年間続けてこられた周南コンビナートで発生する副生水素を利用した環境省の実証事業も、昨年度末で終了したと伺っており、ここ最近、県の掲げる水素先進県の実現に向けての取組が足踏みしているのではないのかと感じています。 先般、国が示したクリーンエネルギー戦略の中間整理では、CO2を排出しない水素やアンモニアなどのクリーンエネルギーの導入拡大に向けた支援制度を検討し、供給網などの整備を急ぐこととされています。 県におかれても、そうした国の動きも視野に入れながら、県議会、脱炭素社会における産業発展方策調査特別委員会の提言の中にもありますように、地域の特性を生かした独自の取組への支援に向け、これまでの取組の成果をしっかりと生かしつつ、水素技術の社会実装に向けた技術開発支援など、さらなる取組を進められることを期待しております。 そこでお尋ねします。脱炭素社会を見据え、水素の社会実装に向けた取組の強化に、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高度産業人材の育成・確保についてお尋ねします。 ものづくりは人づくりと言われるように、新たな製品やサービスを生み出すのは人であり、本県産業にイノベーションを起こしていくには、高度な産業人材の育成や確保が不可欠です。 とりわけ、脱炭素化やデジタル化が進む現在においては、急速に進む技術革新の中で、習得した知識や技術の陳腐化のスピードが極めて速く、従来の職場の上司や先輩などが実際の仕事を通じて部下に指導する、いわゆるOJT(On the Job Training)と言われる人材育成だけでなく、改めて大学など職場を離れて学び直すOFF─JT(0ff the Job Training)と言われる取組が重視されていると言われています。 私の地元にある山口東京理科大学では、本年三月、来年度からデータサイエンス系学科を新設する構想が表明されました。従来の工学部と西日本の公立大で初めて設置された薬学部によって、全国でも珍しい薬工連携教育を行い、企業が抱える課題をサイエンスデータで解決する、データサイエンティストの育成を目指すとのことです。 全国で唯一、工学部と薬学部を併設する公立大学という特性を生かした特色ある取組であり、薬学部と相まった相乗効果により、時代が求める人材の育成や地域活性化が進むことを、地元議員としても大いに期待しています。 県内にはこうした優れた研究機能や人材育成機能を有する大学が多くあり、高度産業人材の育成にはこうした県内大学と連携した取組が、今後一層必要になると考えます。 一方で、県内大学生の定着率に目を向けると、県内での内定者の割合は、全内定者の三割程度にとどまっており、本県で育成した人材の多くが県外に流出していることは、本当に惜しいことだと思います。 県では、大学リーグやまぐちの取組によって、高等教育機関や産業界と連携し、若者の県内定着の促進に取り組まれていますが、IT人材をはじめ優れた産業人材の獲得競争が全国で激化する中では、いわゆる理系学生の県内への定着に向けても、県内企業と大学の連携を一層深めていく必要があると考えます。 こうした中、国においては、世界的に需要が高まっている、半導体や蓄電池分野などの人材の育成を強化するため、今後、東北や近畿などで産学官の連携組織の立ち上げを検討しており、有力企業や大学などが協力し、地域の実情に即した人材育成プログラムを構築していくとのことです。 私は、高い技術力のある企業や理系大学が立地する本県においてこそ、このような取組を進め、企業が求める高度な産業人材を地元大学と連携して育成・確保する取組を強化することが必要であると考えます。 こうした取組を進めることで、高度産業人材を継続的に育成・確保することが、脱炭素化やデジタル社会の中でも本県産業が勝ち抜いていくための産業戦略として重要だと思うのです。 そこでお尋ねします。本県の高度産業人材の育成・確保における県内大学との連携強化について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、障害福祉サービスの充実についてお尋ねします。 障害のある方の数はここ数年で大きく増加し、全国で約九百六十五万人、国民の約八%の方が何らかの障害があると言われており、本県においても、障害者手帳をお持ちの方だけでも八万人以上おられます。 障害の有無にかかわらず、いつまでも安心して暮らし続けることのできる社会を実現するためには、支援が必要な方に対し、必要なサービスを安定して提供し、そして充実させていくことが重要であり、そのためにもサービスを提供する現場の職員が働きやすい環境づくりの一層の推進が求められております。 ここで、障害福祉の現場に目を向けてみますと、職員からは利用者である障害のある方との日々の関わりの中で少しずつ積み重なる信頼関係など、やりがいを感じている方も多くおられますが、給与面等の不満や、仕事そのものの負担が大きいという声も多く聞きます。 給与面等に当たっては、岸田内閣により行われているさきの経済対策において、障害福祉も含む介護職員等の賃金水準の引上げを目的とした臨時的な処遇改善が実施されているところです。 この処遇改善は今後報酬改定への反映が予定されており、県におかれましては、従前の処遇改善加算と併せて、給与・待遇面の改善に確実につながるよう、しっかりと制度周知、取組促進をお願いしたいところです。 片や、仕事面についてですが、入所系の事業所では深夜帯も含む二十四時間の体制が必要な場合もあれば、障害者が持つ個々の事情に応じて慎重・丁寧な対応が必要となるケースも多く、連日に及ぶ支援記録の作成など、精神的・体力的にも負担が大きいと感じている方も多くおられます。 こうした中で、デジタル技術の発達により、障害分野においても現場で活用できるシステムやロボットなどの開発が近年飛躍的に進んでおります。 従来アナログで対応していた記録作成や情報共有などは、システム化により業務の効率化、迅速な情報共有が可能となり、文字どおりマンパワーで対応していた移動支援や見守りなども介護ロボット等により業務負担の軽減を図ることができるようになっています。 このコロナ禍においては、従来の業務に加え、事業所では事前の感染防止対策や、感染症患者発生時の対応などが求められ、職員の負担感はさらに増加しています。少しでも現場職員の負担を軽減できるよう、システムやロボットなど、事業所のデジタル技術の導入を県が強力に後押しすることが必要と考えます。 そこでお尋ねします。障害のある方が安心して暮らしを支える障害福祉サービスの充実を図るためには、そのサービス提供の要である現場職員の処遇改善や負担軽減をより一層進めていくことが必要となりますが、県では、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、日本一の安心インフラやまぐちの実現についてお尋ねします。 県では、全国で二番目に長い総延長二千キロメートルを超える二級河川や、多くの橋梁、トンネル、ダム等を管理しておられます。 我々の社会活動や経済活動を支え、県民の安心・安全を確保するこのような社会インフラ施設について、その機能を十分に発揮するためには、適正な維持管理や更新が必要です。 しかし、我が国では、高度経済成長期以降に集中的に整備された社会インフラが、今後、一斉に老朽化を迎えることとなり、建設後五十年を経過する施設も急激に増加しています。 先月も、愛知県豊田市の取水施設で大規模な漏水が発生し、工業用水、農業用水の供給に大きな影響を与えました。この取水施設は建設から六十四年経過しており、一部報道によれば、老朽化による影響も指摘されています。 本県においても、管理するインフラの老朽化が進行しており、老朽化に起因する施設の変状や損傷も発生しております。令和二年十一月に、上関大橋において鋼棒の破断による事故が発生したことは記憶に新しいところです。 こうしたインフラの老朽化に対応するため、県では、平成二十七年度に山口県土木建築部インフラマネジメント計画を策定し、予防保全型の維持管理を行うとともに、施設ごとの点検結果に基づいて長寿命化計画を策定し、費用の縮減や平準化を図る効率的な維持管理を実施しておられます。 また、国の、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に呼応した老朽化対策予算の確保や、ドローンやAIなどのデジタル技術の活用によるインフラマネジメントの高度化に積極的に取り組むとともに、組織面では、本年度から、建設DXや長寿命化対策を担当する審議監を新設されておられます。 日本一の安心インフラやまぐちを掲げ、実施されているこうした県の取組を評価するものでありますが、一方では、本県が抱える最大の課題である人口減少、少子高齢化を克服するため、産業や観光振興に資する道路や港湾整備など、新たな整備も必要不可欠であります。 こうしたことから、県の所有する多くのインフラの適正な維持管理・更新に当たっては、限りある財源や人員の活用について一層の工夫に努められるとともに、国に対しても、必要な対策を講じるための予算の確保や地方財政措置の充実を求める必要があると考えます。 加えて、日本一の安心インフラやまぐちの実現は、県の取組のみで実現するものではなく、同じく社会インフラを管理する市町にも取組を広げることが必要と考えます。 そこでお尋ねします。県民の皆様の安心・安全を確保するため、県は、日本一の安心インフラやまぐちの実現を掲げておられますが、その実現に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、子供の体力向上についてお尋ねします。 体力は、人間のあらゆる活動の基本となるものであり、健康の維持のほか、人間の健全な発達・成長を支え、健康的で充実した生活を送る上で大変重要な要素です。 また、体力は物事に取り組むやる気、集中力、粘り強さなどの働きを高めるとされており、子供の時期に活発な身体活動を行い、体力を高めることは、運動能力が向上し、より健康で丈夫な体をつくることはもちろんのこと、精神面が安定し、意欲的に取り組む態度の育成にもつながります。 しかしながら、近年、その子供たちの体力の低下が見られます。 令和三年度の、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の調査結果によると、本県は、体力の総合的な指標となる体力合計点が全ての調査対象学年で全国平均値に届いておらず、小学五年生男女及び中学二年生女子については、全国と同様、連続して前回調査値を下回っており、特に小学五年生男女に関しては、平成二十年の調査開始以来、過去最低の数値となっております。 こうした状況について、国は、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えたことなどにより、運動時間が減少するとともに、学習以外でのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等による映像の視聴時間であるスクリーンタイムが増加し、子供の体力低下にさらに拍車がかかったと分析しています。 コロナ禍により、社会全体ではやむを得ず様々な活動制限が行われていますが、子供の体力の向上を図り、健全な発達、成長を促すためには、運動をしない、もしくは運動やスポーツをする時間が減少した生活習慣がこのまま定着してしまうことは避けなければなりません。 国の調査では、コロナ禍においても運動やスポーツをする時間が増加した児童生徒も見られており、その特徴としては、運動やスポーツの大切さを十分認識し、体力も高いといった傾向が認められています。 県教委は、家庭も含め関係者と連携しながら、子供たちに運動やスポーツをすることの大切さ、楽しさを実感させることで、体を動かすことが好きな子供を育み、体力の向上を図っていく取組が求められます。 また、幼少期の運動習慣づくりは、子供の体力向上はもとより、成人期以降のスポーツ習慣や高齢期以降の健康の保持にも大きな影響を及ぼすとの調査もあり、そうした観点も踏まえ、取組を進めていくことが必要です。 本県では、知・徳・体の調和が取れた生きる力を身につけるとともに、他者と協働しながら力強く生きていく人を目指すべきやまぐちっ子の具体的な姿の一つとして示しています。 県教委においては、知や徳とともに、コロナ禍で落ち込んだ体の充実に改めて努められ、人生百年時代を生きる子供たちが健やかに育ち、長い人生を健康で豊かに過ごしていけるよう、子供たちの体力向上に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。コロナ禍により子供たちの体力低下が一層進む中、本県の未来を担う子供たちの体力の向上に向けて、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 江本議員の御質問にお答えします。 まず、ウクライナ避難民への支援についてです。 ロシアによるウクライナへの侵攻は、ウクライナの主権と領土を侵害する断じて容認できない行為であり、これにより、多くのウクライナ国民が国内外への避難を余儀なくされ、現在、日本にも千人を超えるウクライナの方々が避難されています。 本県においても、現在四人の方が避難されており、私は、こうした慣れない避難生活に不安を抱えておられる方々の気持ちに寄り添い、きめ細かな支援を行っていくことが必要と考えています。 このため、庁内の部局横断的な組織として、ウクライナ避難民支援プロジェクトチームを設置し、国や市町、関係機関等と連携しながら、避難民が必要とする様々な支援を迅速に提供できる体制を確保しているところです。 こうした体制の下、県では、ウクライナ人道危機救援金を設け、県民の皆様からの救援金を募集しており、ウクライナでの人道危機への対応や避難民の救援活動の支援に活用することとしています。 また、本県に避難された方が、安心して生活が送れるよう、県国際交流協会に設置している外国人総合相談センターにおいて、ウクライナ語による相談にも対応できる体制を整えるとともに、避難生活の場として、無償で提供できる県営住宅を確保しているところです。 さらに、このたびの六月補正予算において、ウクライナ避難民の方々が、本県で生活を始める上で必要となる準備金として、一世帯当たり二十万円を支給するための経費を計上したところです。 こうした取組に加え、国が開設しているウクライナ避難民支援サイトで、本県の避難民向けの支援情報を発信するとともに、県においても専用サイトを開設し、県や国等の取組や支援内容を掲載することにより、避難民の方々をはじめ、広く県民の皆様への周知を図っているところです。 私は、今後とも、国や市町、関係機関等と緊密に連携しながら、ウクライナ避難民の方々の意向やニーズ等をしっかりと把握し、必要となる様々な支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、水素の社会実装に向けた取組の強化についてのお尋ねにお答えします。 本県では、瀬戸内沿岸のコンビナートから大量かつ高純度の水素が生成される地域特性を生かし、新たな技術開発の促進による産業振興、水素利活用モデルの展開による地域づくり、水素利用の拡大に向けた基盤づくりを三つの柱として、全国に先駆けた取組を展開してまいりました。 こうした中、二○三○年度温室効果ガス排出量四六%削減、二○五○年カーボンニュートラルという脱炭素化に向けた高い目標の実現が求められており、まさに今が、本県が取り組んできた水素社会を実現させる好機であると認識しています。 このため、私は、現在策定中の新たな総合計画、やまぐち未来維新プランにおいて、四つの視点の一つにグリーンを設け、国が策定を進めているクリーンエネルギー戦略との整合を図りながら、社会実装に向けて、水素利活用の取組を加速したいと考えています。 具体的には、まず、新たな技術開発の促進による産業振興に向けては、各研究開発のフェーズや事業規模に応じて柔軟に対応できる県の補助制度などを活用し、県内企業の技術開発を支援しています。 これまでの支援により、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を製造する水電解装置など、多様な技術や研究成果が蓄積されてきたところであり、今後は、こうした技術等を活用し、地域での実証や事業化につなげてまいります。 次に、水素利活用モデルの展開による地域づくりに向けては、国の実証事業の成果も踏まえ、水素利用のさらなる拡大に向け、今年度は燃料電池フォークリフトの試験運用を行うこととしています。 また、お示しの再生可能エネルギー活用型水素ステーションなど、県内企業が開発した優れた技術や製品について、本県が率先して普及を進め、社会実装につなげてまいります。 水素利用の拡大に向けた基盤づくりに向けては、事業者に対し水素ステーションの県内への設置を働きかけるとともに、水素やアンモニアなど次世代エネルギーの供給拠点として、県内港湾の利活用が図られるよう、カーボンニュートラルポートの形成に向けた検討を進めていきます。 また、長年培った水素利活用の経験やノウハウを生かし、水素の社会実装に向けた実証フィールドとして本県を活用していただくなど、新たな取組にも挑戦し、こうした検証で得られた成果や課題等は、国へも積極的に政策提言をしてまいります。 私は、今後とも、来るべき脱炭素社会を見据え、国の事業を積極的に活用しつつ、県議会の御意見も頂きながら、県、市町、企業、関係機関等が一体となって、水素の社会実装に向けた取組をより一層強力に進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 前田産業戦略部長。    〔産業戦略部長 前田安典君登壇〕 ◎産業戦略部長(前田安典君) 高度産業人材の育成・確保についてのお尋ねにお答えします。 本県産業力の強化に向けては、高度技術や産業集積を生かしたイノベーションの加速的な展開と、これを支える高度産業人材の育成・確保が不可欠であり、そのためには、優れた研究・教育機能を有する県内大学等との連携強化が重要です。 このため、県では、県内大学や産業界等で構成する大学リーグやまぐちを通じて、大学生の県内就職を促進するとともに、山口大学との連携の下、学生や社会人を対象としたデータサイエンス講座を開講し、受講料を支援するなど、IT人材の育成に取り組んできたところです。 こうした中、企業の求める人材の多様化や、デジタル化、脱炭素化などのさらなる進展を踏まえ、大学等との連携を強化し、高度産業人材の育成・確保を一層促進することとしています。 まず、薬学部生や理系大学院生の確保に向けた奨学金返還補助制度については、就職先の対象に情報サービス業を加え、DXの推進を担う人材確保を積極的に推し進めているところです。 こうした制度の充実を図りつつ、広報活動の強化にも取り組んでおり、新たにSNSを活用するとともに、山口東京理科大学薬学部の第一期生が五年生となり、本年度初めて本制度の対象となるこの機会を捉え、当大学と連携し、積極的な周知に努めていきます。 また、県内への集積が進む医療関連産業の人材育成・確保に向け、当大学等との連携による、山口県GMPカレッジにおいて、専門性の高いプログラムを提供しており、就職活動を迎える五年生を対象に、今年度は座学に加え、新たに製薬工場での実地研修を計画しているところです。 さらに、脱炭素化を背景に電動化が進む自動車産業の人材育成・確保に向け、県内大学等と連携し、工学部等の学生を対象に、自動車産業の魅力や今後の展望等を発信するセミナーを開催するなど、若者の自動車産業への関心を高めていきます。 一方で、お示しのように、現在、国においては、半導体分野等における産学官連携による人材育成の新たな仕組みづくりが検討されるなど、国を挙げて取組の強化が進められています。 県としては、こうした国の動きも踏まえ、県内の大学や企業との連携を一層深めながら、本県の産業を支える高度産業人材の育成・確保に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) 障害福祉サービスの充実についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して暮らしていくためには、障害福祉サービスの担い手となる人材の確保が重要であることから、県では、施設職員等の処遇改善や介護業務の負担軽減に取り組んでいるところです。 まず、施設職員等の処遇改善については、国の福祉・介護職員処遇改善加算制度等の活用により、賃金の改善が図られるよう、施設の管理者向けの説明会や実地指導等を通じて、事業者等に対する制度の周知や助言に努めているところです。 また、お示しのとおり、国においては、今後臨時の報酬改定を行い、新たな加算制度を創設し、確実な賃金改善につなげることとしており、県では、事業者等に対して、こうした制度を積極的に活用するよう、引き続き周知、助言に努め、施設職員等の処遇改善を一層推進してまいります。 次に、介護業務の負担軽減については、ICTやロボットの導入が、業務改善や精神的・体力的な負担の軽減に大きな効果があることから、県では、機器等を整備する障害福祉サービス等事業所に対して助成を行っているところです。 助成により導入した機器には、利用者の睡眠時の心拍数や体温等をセンサーで計測する見守りロボット等があり、事業者からは、利用者の状態が遠隔で常時確認できるようになったため、夜間の巡回回数を減らし、職員の負担が軽減されたなどの報告を受けています。 引き続き、事業所に対する助成を行うとともに、その導入の効果について、セミナーの開催やホームページ等を通じて広く周知することで、県内事業所におけるICTやロボットなどの導入を一層促進し、業務の負担軽減を図ってまいります。 県としましては、今後とも、こうした取組を通じ、関係団体等と連携しながら、施設職員等の処遇改善や負担軽減を促し、働きやすい環境づくりを積極的に推進してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 日本一の安心インフラやまぐちの実現についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の公共土木施設は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められています。 しかしながら、おととし、上関大橋において損傷事故が発生するなど、本県においても、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進んでおり、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 このため、県では、常日頃から適切に維持管理を行うとともに、施設ごとに長寿命化計画を策定し、計画的に老朽化対策を推進しています。 また、限りある財源や人員の中、こうした取組をより効率的・効果的に進めていくため、デジタル技術を活用したインフラマネジメントの高度化にも積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、橋梁の異状箇所を早期に発見し、対応を図るためのAIによる点検・診断システムや、河川の変状を迅速かつ的確に把握し、効果的に対策を行うためのドローン等による監視手法などの構築を進めています。 さらに、今年度から、トンネルやダムなど、そのほかの施設にもデジタル技術の活用範囲を広げるための取組に着手したところです。 こうした老朽化対策などの取組を進めるに当たっては、お示しの五か年加速化対策の予算を積極的に活用しているところであり、引き続き、国の支援が得られるよう、必要な予算の確保と地方財政措置の充実について、政府要望等あらゆる機会を通じて国に訴えてまいります。 また、市町においても県と同様に多くの公共土木施設を管理していることから、インフラマネジメントの高度化に向けた県の取組を市町にも広げていく必要があると考えています。 このため、県では、山口大学等と連携し、地域のインフラマネジメントを担う中核的な人材の育成を図っているところであり、今後は、県が開発を進めている橋梁の点検・診断システム等を提供し、市町での取組を支援していく考えです。 県としては、日本一の安心インフラやまぐちの実現に向け、引き続き、デジタル技術を活用した高度なインフラマネジメントの取組も積極的に取り入れながら、公共土木施設の適切な維持管理や老朽化対策などを推進してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 子供の体力向上についてのお尋ねにお答えします。 体力は、人間の活動の源であり、健康の維持のほか意欲や気力といった精神面の充実に大きく関わっており、お示しのとおり、子供の時期に体力を高めることは、健康で丈夫な体をつくるだけでなく、意欲的に取り組む態度の育成にもつながるなど、生きる力を支える重要な要素であると考えています。 このため、県教委ではこれまで、スポーツ医・科学の専門家等の意見を踏まえ、子供たちの体力の向上や運動習慣の定着に向けた様々な取組を推進してまいりました。 具体的には、特に、本県の子供たちの課題である柔軟性と投力の向上に向け、体育の授業で柔軟性を高める準備運動を行ったり、ドッジボール大会などの投げる運動を取り入れた体育行事を開催するなど、各学校が体力向上に向けた具体的なプログラムを毎年作成し、実施する取組を行ってきました。 そのような中実施された、令和三年度の全国調査においては、柔軟性を示す長座体前屈の本県の記録は、小五男子、中二男女が前回調査を上回ったものの、全国平均と比較すると、多くの種目で依然として低い状況にあり、課題があると捉えています。 こうしたことから、今年度は、従来の取組に加え、各学校の体力向上に向けた取組が、一時的でなく、年間を通した継続的、長期的なものとなるよう、研修会等における好事例の共有などにより、プログラムの改善を図ることとしています。 また、新たに小・中・高の各一校をICT体育推進校に指定し、一人一台タブレット端末等の活用により、児童生徒が自らの動きを分析したり、手本の動画と比べたりして、主体的に学びに取り組むことで、全ての子供が、運動の楽しさを実感できる授業を目指した実践研究を行うこととしています。 さらに、新型コロナウイルスの影響で運動時間の減少や、スクリーンタイムの増加が指摘されていることから、親子を対象にした出前授業の実施や、体を使った遊び等を紹介した家庭用広報誌の定期的な発行などにより、運動の大切さや楽しさを実感させたり、幼少期からの運動づくりにつなげたりする活動の充実に努めてまいります。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委や学校、家庭、地域と連携し、スポーツ医・科学の視点も取り入れながら、子供の体力向上にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 曽田聡君。    〔曽田聡君登壇〕(拍手) ◆(曽田聡君) 皆様、おはようございます。早速ではございますが、通告に従って一般質問をさせていただきます。 初めに、デジタルマップの活用についてお尋ねいたします。 全国の自治体で導入が進んでいるデジタルマップ、国土地理院では、平成十九年に地理空間情報活用推進基本法で、基盤地図情報をあらゆる地理空間情報における位置の基準として規定されました。 都市計画区域内は二千五百分の一で、都市計画区域外では二万五千分の一で、十三項目の情報を整理され、データは、国土地理院ホームページより無償でダウンロードすることができます。 また、長らく二万五千分の一地形図を基本図としてきましたが、現在では、地図情報、オルソ画像、地名情報の三種類の情報で構成されたデータベースの電子国土基本図が新たな基本図として位置づけされています。 このような地図データの整備により、岩手県では防犯対策、土地利用規制、津波防災マップなどを可視化、茨城県では、生活に資する様々な情報を県と県内市町村が共同で整備・運営し、それぞれデジタルマップとして提供されています。 また、奈良県ではこのほど、通学路の安全対策を強化させるため、電子地図データを活用して、安全対策が必要な箇所を表示できるデジタルマップが作成されました。 これまでは、対策が必要な場所の住所を文字で表示していたため、現状把握や情報共有が進みにくい一因となっていましたが、情報をデジタルマップ化することにより、対策の必要な箇所が一目で分かるようになりました。 通学路への街灯設置や学校での登下校指導など、安全対策を進める上で活用が期待され、今後、県警察との情報共有の在り方なども検討していくとされています。 本県でも、山口県オープンデータカタログサイトをポータルとして、山口県及び県内市町が保有するオープンデータを公開するための専用サイトを用意されていますし、山口市では、オープンマップ@山口市を作成し、市内の施設情報、医療関係情報、道路情報、ハザードマップ情報、都市計画情報、AED設置情報、ウオーキングコースを地図上で確認することができます。 そこで第一点目は、全国の自治体で進むデジタルマップの活用例を幾つかお示ししましたが、本県でのデジタルマップの活用についてであります。 本県では、土砂災害警戒区域等マップ、土砂災害警戒情報システムとGISを活用したデジタルマップを、そして、さきに紹介した山口県オープンデータカタログサイトで、県が保有する他のオープンデータを県民の方々に直感的で分かりやすく情報提供するため、デジタルマップが有効と考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 第二点目は、児童生徒の通学路の安全を図るためにデジタルマップの活用であります。 県警察によりますと、令和三年中の子供の声かけ、つきまとい事案は六百七十六件、そのうち約半数が通学路での声かけ事案、そして同じく令和三年中の中学生以下の子供が登下校、また歩行中に被害に遭う交通事故は十一件となっています。 また、千葉県八街市の通学路で起きた事故以降、関係機関等が県内の通学路で行った合同点検により安全対策の必要性を認めた箇所のうち、県警による対策が必要な箇所は二百五十八か所とお聞きしました。 そこでお尋ねいたします。児童生徒の通学路での安全対策のため、デジタルマップを活用し、子供への声かけが発生した箇所、交通事故が発生しやすい箇所などを可視化し、児童生徒そして保護者、教職員で情報共有することで、その安全が強化されるものと考えますが、県教育長、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 次に、ヤングケアラーへの支援についてお尋ねいたします。 二〇一四年八月三十日付の公明新聞に、「家庭介護を担う若者たち 都内在住 ある女性の歩み」と題した記事が掲載されました。 抜粋して紹介いたします。 二〇〇八年末、東京都中野区に住む鈴木詩帆さんは二十一歳だった。認知症の祖母との二人暮らしは数年がたっていた。祖母との生活は小さなトラブルが絶えなかった。薬の飲み過ぎを祖母に注意すると、私から薬を取り上げ、殺そうとしているなどと逆に詰め寄られたことも。鈴木さんは生活保護を受けつつ、大学の通信教育部に在籍していたが、生活の中心は祖母の介護だった。 鈴木さんのように、家族介護に関わる若者の詳しい実態把握はされていないが、参考になるのは、成蹊大学専任講師の澁谷智子さんが二〇一三年に行ったアンケートによると、医療ソーシャルワーカーら四百二人のうち百四十二人、全体のおよそ三五%が、十八歳以下の子供が家族のケアをしているのではと感じた事例があると答えています。 英国では一九八〇年代から、十八歳以下の介護者をヤングケアラーと位置づけ、公的な支援を行っています。 一方、日本は支援どころか実態の把握すら進んでいない。介護を担う、こうした子供や若者に光を当てなければならないのは、大人への移行期にある彼らが抱える問題が、介護者一般とは異なるからだ。 少々長くなりましたが、記事が掲載された八年前、日本では、ヤングケアラーという定義がはっきりしていなかったため、実態の把握・調査がなされず、時が過ぎてしまいました。 そのような中、二〇二一年三月、我が党の伊藤孝江参議院議員は、予算委員会で、子供の介護や世話を担う子供、ヤングケアラーについて取り上げました。 将来のことも考えられなくなるような過度のケアを、家族思いという言葉で済まされないと、教育や福祉の垣根を超えた行政による支援体制の構築を主張しました。 結果、同月、厚生労働、文部科学両省の共同プロジェクトチームが発足するなど、当事者に寄り添う支援の歯車が回り始めました。 昨年十一月の定例会一般質問におきまして、我が会派の石丸県議は、児童虐待や子供の貧困対策など課題解決に向けては、社会全体で支える仕組みづくりが必要と考えますが、ヤングケアラーの実態調査を含め、今後の対応についてただしたことを受け、健康福祉部長からは、調査に当たっては、子供のプライバシーに配慮しながら、調査内容、方法等を検討する必要があることから、市町や関係団体の御意見をしっかりと踏まえ、具体的な検討を進めてまいります、との答弁を頂き、今年度当初予算に新しくヤングケアラー支援体制強化事業が盛り込まれました。 五月三十一日には、第一回山口県ヤングケアラー支援に関する検討会議が開催され、ヤングケアラー支援の動向、実態調査について議論されました。 本県でも、ヤングケアラーの実態把握・調査に向け、一歩踏み出されたことに感謝申し上げます。 実態の把握やその先の支援に結びつけるには、ヤングケアラーに気づける人を増やすこと、ヤングケアラーに気づくことのできる人、例えば、子供の周りにいる保育所や学校関係者、そして地域に根差した活動を展開している子ども食堂のスタッフなどとの連携も必要と思います。 そこでお尋ねいたします。これから実施する実態調査やその後の支援の具体的な検討など、ヤングケアラーへの支援に向け、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、テレワークによる障害者雇用についてお尋ねいたします。 働きたくても働けない、通いたくても通えないとの声を上げてきた障害者にとって、日々進歩するICTは、一筋の光明であります。 障害者が地域で自立し、社会参加していくには障害の特性に応じた就労の場が必要であります。今まで、それがかなわない社会環境がありました。ICTの進歩、特にネットワーク環境の発展でそれが解消されようとしています。 コロナ禍の中で注目された在宅でのテレワーク、テレワークでもオフィスワークと生産性が変わらない業務があることが認知され、首都圏などに拠点を置く企業では、高い賃借料のオフィスから在宅テレワークにシフトする流れも生まれています。 私の周りにも、東京のIT系企業に勤務する男性が、結婚を機に山口市に移住し、在宅テレワークで生活しています。そして、必要に応じて上京しているとお聞きしました。 総務省の行った二〇二一年の通信利用動向調査のうち、テレワークに関する質問では、テレワークを導入していると答えた企業は五〇%を超え、コロナ禍の中で導入が進み、各企業、業界が新たな可能性を見いだすことで、新たな分野でのテレワークが創出されました。 その一つが、障害者雇用におけるテレワークの可能性であります。 本県では、岩国市において、市と地元障害者福祉事業所、そして東京に本社を置き、障害者の求人開拓やテレワーク導入など障害者雇用の課題解決に向け取り組む企業の三者で、二〇一九年十二月、障害者のテレワーク推進に関する連携協定が結ばれ、障害者のテレワークによる就労機会創出を目指す取組が進められています。 また、その取組を進めるため、さきに紹介した、東京に本社を置く企業のサテライトオフィスも、昨年十二月に岩国市内に開設されております。 私は、本年三月、肢体不自由で車椅子での生活を余儀なくされている青年とその家族とともに、このサテライトオフィスを視察させていただきました。 同社支援の下、IT機器を利用して、就労移行支援から始まり、一定のスキルを身につけた後は、主に首都圏の企業との雇用マッチングを行い、テレワークで就労につなげているとお聞きしました。 視察に同行された青年は、障害特性により乗り越えなければならない課題はあるものの、テレワークによる就労への期待に胸を膨らませておられました。 二〇二一年三月から、従業員四十三・五人以上の民間企業の障害者の法定雇用率二・三%に引き上げられたこともあり、大都市圏では、障害者のテレワークを積極的に取り入れる企業が増加しております。 しかしながら、本県では岩国市の取組はあるものの、まだまだ浸透していないのが現状であります。 障害者雇用におけるテレワーク導入に当たっては、環境面や制度面の整備、障害者特性に合わせた雇用管理など、解決しなければならない課題はたくさんありますが、障害者にとっては、通勤の負担を軽減できる、住む場所により不利益を受けにくい、障害特性により一般のオフィス勤務が難しい場合でも就労が可能になる、また、企業にとっても、有能な人材、多様な人材の確保、雇用チャネルやエリアの拡大など、双方にとったメリットがあります。 障害特性に配慮しつつ、職場の有効な選択肢の一つとして、テレワークをより進めていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。本県にとってテレワークによる在宅・サテライトオフィスの勤務の推進は、多様な働き方が求められる中、そして多様な人材の雇用機会を創出する大変大切な取組だと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、労働者協同組合法施行に向けての取組状況についてお尋ねいたします。 この秋、十月一日に、労働者協同組合法が施行されます。 私は、令和三年二月議会におきまして、この法律の成立を受け、山口県でも多くの方々が、企業組合、NPO法人等の組織・団体で活動されていますが、このたびの労働者協同組合法が施行されるまでの約二年間、この制度の周知活動をどのようにされるのか、と質問させていただきました。 それに対し、当時の商工労働部長により、県としては、必要な情報を収集の上、市町と連携して、広く県民に制度の周知を図ること、とりわけ同法は企業組合やNPO法人から組合への移行が想定されていることから、企業組合所管の山口県中小企業団体中央会やNPO法人に関係する庁内関係部局を通じて、こうした団体に情報が十分行き渡るよう努めてまいります、との答弁がありました。 全国でもこの法律成立後の県議会、市議会で党派を超えて、たくさんの質疑、そして答弁が行われております。 例えば、広島市では、労働者協同組合法の活用や、広島市が進めてきた協同労働モデル事業についての質疑に対し、「本市では、この協同労働を活用したモデル事業を、全国に先駆けて、平成二十六年度から実施しています。郷土愛を育む新しい働き方として、また、地域コミュニティー再生のツールとして大きな可能性を持っていると考えています。こうしたことから、このたびの労働者協同組合法の成立は、協同労働という新たな働き方を地域に根づかせ、皆が互いに支え合う持続可能な活力のある地域社会の実現の追い風になると考えています」云々。 また、福井県では、「NPO法人では出資が認められず、事業も福祉やまちづくりなど二十分野に限定されており、働き手の生活を支えることが目的ではないため、報酬を追求する事業ができません。これに対して、労働者協同組合は、労働者派遣を除き事業分野に制限は設けておらず、働き手は最低賃金の保障など労働法規が指摘をされます」云々、との質疑に対し、「今までNPOだとなかなか事業の幅が狭いとか、それにもうけられないというような、こういった手かせ、足かせもあったわけですけれども、こういったことを乗り越えて、幅広く、しかも労働法規が適用になるということで最低賃金が適用になる、これも大変メリットが大きいと思います。ただ現実には、なかなかそうした地域課題解決のときに、事業として最低賃金を払って成立していくというのがなかなか難しいといったところもあると思いますので、その施行までの期間、制度の中身を十分検討していきたい」云々と。他の議会におきましても、この法律の成立には好意的に受け入れられ、特に地域課題解決、高齢化による人材不足の解決のためにも、この法の趣旨を理解促進していくため、周知・啓発を図っていく旨の答弁に終始しておられました。 そこでお尋ねいたします。労働者協同組合法施行が十月一日と迫る中、本県では、この法律の周知・啓発にこれまでどのように取り組まれてこられたのか、これからどのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、県内の貸切りバス事業についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症が拡大する前、旺盛なインバウンド需要があった平成の時代、全国の貸切りバス事業の経常収支率は、平成二十九年一〇八・一%、平成三十年一〇五・八%でありましたが、令和元年度一〇一・九%と新型コロナウイルス感染症の発生で二月以降、貸切りバスの需要が急激に悪化した影響もあり、経常収支率は前年度から三・九%下回り、令和二年度は新型コロナウイルス感染症が広がり収束が見通せない中、七六・四%と前年度比二五・五%と大幅な減少となりました。 山口県バス協会の調べでは、令和元年度から令和三年度の年間運送収入を比較すると令和元年度、十五億五千六百万円に対し、令和二年度は五億五千九百万円と大幅に減少し、令和三年度はやや持ち直して七億六千万円と、令和二年度比一・三六%アップしたものの、コロナの影響を受ける前の平常時と比較して二分の一しか回復しておらず、依然として厳しい状況にあります。 例えば、本来五月は、春の行楽シーズン期であるため、収入は増加する時期でありますが、令和三年五月から六月にかけて、近県の広島県、福岡県において、緊急事態宣言が発令されていた時期であるため低迷していると推察されます。 少し感染者数が落ち着きを見せた秋の行楽シーズン期については、令和二年度十月一億一千万、十一月一億三千八百万に対し、令和三年度の十月は一億一千三百万、十一月は一億三千七百万とほぼ同程度の数字となっています。 しかし、年を越した令和四年一月から、オミクロン株の拡大により、当初は予約が多く入っていましたが、その多くがキャンセルとなり、再び厳しい状況になっています。 このような状況に加えて、山口県内の貸切りバス事業者にとって、運送収入を減少させる要因として、国土交通省が定めているブロック運賃公示の差があります。 例えば、九州運輸局の定める一キロ当たりの大型車の上限額百五十円、下限額百円に対し、中国運輸局では上限額二百十円、下限額百五十円と高く定められており、中型車・小型車においても同じように高くなっています。 このことが、下関市を中心とする山口県西部において、九州ブロックと中国ブロックの公示運賃の格差から、九州運輸局の管轄に営業所のある貸切りバス事業者が、九州ブロックの公示運賃で営業活動を行うことで、地元において地元からの輸送業務が獲得できない状況が頻発しており、山口県内の事業者の疲弊が目立つようになっています。 これからのウイズコロナ、ポストコロナの中で、政府では観光需要の再構築やインバウンド再開に向けてかじを切り出しましたが、国に対しブロック運賃の是正を求めないと山口県内の貸切りバス事業者の経営環境は、厳しい状況が続くものと考えます。 そこでお尋ねいたします。コロナ禍の中で傷んだ貸切りバス事業者の経営基盤の強化、そして合法とされる輸送ではありますが、現状では地域の輸送秩序を守り、地元の貸切りバス事業者を守れる制度設計になっていないため、貸切りバスの拡大営業区域に適用する運賃・料金の制度について、県の御所見をお伺いいたします。 最後に、多様な学びの場についてお尋ねいたします。 グローバル化していく現代社会において、様々な国から来日して暮らしている人や様々な価値観を持って暮らしている人がいます。 そのような中で、公教育のありようの見直しが求められるときが来ていると思います。 第一点目は、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育についてお尋ねいたします。 文部科学省の調査によりますと日本語指導が必要な児童生徒は、日本語指導が必要な日本国籍児童と日本語指導が必要な外国籍児童の数を合わせると、平成三十年度は五万一千百二十六人と十年間で一・五倍になっています。 山口県では、百三十六人と全国に比較して人数こそ少ないものの、小中学校の教室で先生が教えていることが理解できず、学力がついていかないまま時を過ごしている児童生徒も見受けられます。 そのような中、青年海外協力隊山口県OB会のメンバーで組織する、子供のための日本語教室では、二〇二一年三月から試験的に教室をスタートさせました。 当初は、山口市内一会場で週一回のペース、今ではオンラインを含め五会場で開催しています。 来日してから数年たち、会話もできるようになっても学校の勉強についていけない子供たち、来日して間もなく、初歩的な日本語を習得する時期に適切な支援が受けられていない子供たちなど、一年間で四十一人の子供たちに出会い、対応されたとお聞きしました。 また、山口県の現状を数字で見てみると、日本語の支援が必要な外国籍児童生徒数と在籍する学校数を、文部科学省の調査を基に整理してみました。 二〇一六年度は七十人二十六校、二〇一八年度は九十八人四十校、二〇二一年度は百二十人四十三校と増加傾向にあります。そのうち、日本語指導教員が配置されている学校は八校とお聞きしました。 文部科学省では、帰国・外国人児童生徒等教育の推進事業として、きめ細かな支援事業と就学促進事業を予算化し、各自治体にその活用を呼びかけています。 山口県では、その事業実施に至っておりません。真に必要な、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育の指導員の増員やボランティアなどで組織されている、子供のための日本語教室を持続可能とするために、早急な事業実施が必要と考えます。 そこでお尋ねいたします。外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育にどのように取り組まれるのか、県教委の御所見をお伺いいたします。 第二点目は、公立夜間中学校の設置についてお尋ねいたします。 平成二十六年十一月議会で、我が会派の上岡康彦県議が、教育再生実行会議の提言に夜間中学の設置を推進する重要性が明記されたことを受け、県教委に設置についてお尋ねし、平成二十七年六月議会で、私が、国も中学校夜間学級の設置を推進していく考えを示したことから、改めて県教委に設置についてお尋ねさせていただきました。 県教委からは、いずれも国の動向や既に設置されている他の都道府県の状況などを把握し、市町教委へ支援していくとの趣旨の答弁がありました。 その間、全国では設置・検討状況の都道府県は、令和四年四月現在、徳島県、高知県、香川県など十五都道府県四十校となりました。 令和三年一月二十五日の衆議院予算委員会で、菅前総理大臣は、夜間中学の教育活動を支援するとともに、今後五年間で全ての都道府県・指定都市に夜間中学が少なくとも一つ設置される、このことを目指し、全国知事会や指定都市市長会の協力を得て、取り組んでいきたい、このように思います、と答弁されました。 夜間中学校の必要性や設置の大切さは、多様な学びの場の機会を保障するための様々な役割が期待されています。 そこでお尋ねいたします。他県において、公立夜間中学校設置の動きが見られる中、県として現在のニーズを把握し、県内で設置に向けた検討に取り組むべきと考えますが、県教委の御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 曽田議員の御質問のうち、私からは、テレワークによる障害者雇用についてのお尋ねにお答えします。 障害者が地域社会の一員として自立し、生き生きと生活していくためには、一人一人の特性や能力などに応じて働くことができるよう、障害者雇用に対する企業の理解促進や、多様な就業機会を確保することが重要です。 このため、私は、障害者の雇用確保を経営者へ要請するとともに、障害者雇用に積極的な企業の認定や優良事業所等の表彰、事例紹介などを通じ、障害者雇用に対する理解を深め、雇用拡大に向けた機運の醸成に努めてきたところです。 また、職場において障害者の雇用と定着を推進するリーダーを養成するため、企業の人事担当者等を対象に、優良事業所や特別支援学校の見学会や研修を実施し、企業の取組を促進しています。 こうした取組により、合弁で農業法人を設立し、障害者に就業の場を提供している事例や、障害者が安心して働ける施設を開設し、障害者の雇用推進を図っている事例につながっています。 こうした中、働き方の新しいスタイルとして広がりを見せるテレワークは、障害者の就業を進めるための有効な手段の一つとなることから、その導入を積極的に促進するとともに、障害者の雇用につなげていく必要があります。 このため、テレワークによる就業が促進されるよう、障害者がパソコンの技術を習得する職業訓練を実施し、障害者のスキルアップを支援してまいります。 また、テレワーク環境を整備する企業に対し、導入に必要な助言等を行う専門家を派遣するとともに、課題を抱える企業の問題解決に向けたワークショップを今年度新たに開催し、機器導入経費等の補助制度と効果的に組み合わせることで、企業の取組を後押しすることとしています。 さらに、住み慣れた地域と職場が近く、柔軟な働き方が可能なサテライトオフィスは、女性や若者をはじめ、障害者など誰にとっても働きやすい雇用の場であることから、その創出に向け、展示会出展やWEBプロモーションなど、様々な機会を活用した情報発信による誘致活動を展開しています。 お示しの岩国市の事例では、地元市と連携した誘致活動の結果、リモートワークによる障害者の就業機会を創出する事業者の誘致と障害者の雇用を実現したところであり、引き続き、障害者雇用にも資するサテライトオフィスの立地に積極的に取り組んでいきます。 私は、様々な特性を持つ障害者が希望する就業を実現し、地域で自立して社会参加できるよう、テレワークによる障害者雇用を積極的に促進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
    ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) デジタルマップの活用に関する御質問のうち、本県でのデジタルマップの活用についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化された地図上に様々な情報を重ねて表示するデジタルマップは、インターネットを通じて視覚的で分かりやすく情報を提供できるとともに、地図の拡大・縮小機能等を有し、迅速なデータ更新も行えるなど、デジタルの特徴を生かした効果的な情報提供手法であることから、全国で活用が進んでいます。 本県においても、オープンデータカタログサイトに、医療機関や子育て施設など、十七項目のオープンデータマップを整備しているほか、土砂災害警戒区域等マップなどにおいて、土砂災害発生の危険度や雨量状況等の防災情報をデジタルマップとして提供しているところです。 県としては、このデジタルマップが、県民の皆様に情報提供をする手法として非常に有効であることから、さらに充実を図るため、デジタルマップに利用可能なデータの拡充とその機能強化に向けて、取組を進めていきたいと考えています。 まず、データの拡充については、地域の様々なデータを有する市町と連携して取り組む必要があることから、本年二月に研修会を開催し、データ公開の重要性等について意識共有を図ったところであり、今後も、市町と一体となって、提供データ数を着実に増やせるよう取り組んでいきます。 次に、デジタルマップの機能強化については、お示しの他県の優良事例も参考にしながら、さらに使い勝手のよいものにできるよう、オープンデータマップの提供システムのインターフェース改善や操作性向上等について検討していきます。 さらに、こうした取組に加え、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」が有する「Y─Cloud」のデータ可視化ツールを活用することで、デジタルマップの作成が可能となることから、周南市の野犬対策のマップ化支援のように、DXコンサルを通じたデジタルマップの普及も促進していきます。 県としては、今後も、市町と連携し、デジタル社会の基盤となるデータの効果的な活用と、県民の皆様に対する分かりやすい情報提供に向け、県政の幅広い分野におけるデジタルマップの活用に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) ヤングケアラーへの支援についてのお尋ねにお答えします。 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない、重い責任や負担を負うことで、本人の生活や教育に影響があることから、学校や福祉サービス提供事業者、行政機関等が緊密に連携を図りながら、早期に発見し、適切な支援につなげることが重要です。 このため県では、今年度、本県独自にヤングケアラーに係る実態調査を実施し、必要な支援の在り方について検討を進めることとしています。 まず、実態調査については、学年ごとに抱える問題等を詳細に把握するため、小学校五年生から高校三年生までの全ての児童生徒を対象とし、家族の世話の状況や子供の生活への影響、必要としている支援内容等を調査することとしています。 調査項目には、学校等への相談を希望する子供が自由に意見を述べる項目を追加するなど、実態調査を通じて、悩みを抱えている児童生徒に対する適切な支援につなげてまいります。 また、県では、学識経験者や福祉、教育、市町等の関係機関で構成する検討会議を設置し、調査結果を詳細に分析し、早期発見や適切な支援に向けた方策について検討を進めることとしています。 具体的には、お示しのヤングケアラーにいち早く気づくことができる仕組みづくりや、相談しやすい体制づくり、支援の中心となる市町や福祉関係機関等との連携体制の構築など、様々な観点から検討してまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、市町や関係機関等と連携しながら、引き続き、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 小関商工労働部長。    〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 ◎商工労働部長(小関浩幸君) 労働者協同組合法施行に向けての取組状況についてのお尋ねにお答えします。 労働者協同組合法に基づき、新たな法人形態として法制化された労働者協同組合は、多様な就労機会の創出や地域の需要に応じた事業の実施など、地域の実情に応じた様々な課題解決の有効な手段となることが期待されます。 このため県としても、これまで国の取組を注視しながら、制度の運用を円滑に開始できるよう準備を進めてきたところです。 まず、国の取組ですが、本年十月からの施行を控え、先月二十七日付で施行令、施行規則及び適正な運営に資するための指針が公布され、今月三日には、都道府県向けのオンライン説明会が開催されたところです。 こうした国の取組を踏まえ、県では、企業組合やNPO法人を所管する庁内関係部局との連絡体制を整えるとともに、労働者協同組合法について説明するホームページを作成するなど、広く制度の周知に努めてきました。 また、施行令等の公布を受けて、市町や関係団体に対し、制度の詳細について情報提供し、その周知・広報等の依頼を行ったところです。 今後は、組合の設立が円滑に行われるよう、国の事業とも連携しながら、認知度向上を図るフォーラムの開催などにより制度の周知を図るとともに、県民向け相談窓口を設置し相談・助言等を行うこととしています。 また、県内でも組合設立の動きがありますが、設立を希望する団体に対し、手続が円滑に行われるよう、きめ細かくサポートを行うとともに、設立された組合を先行事例として広く紹介することで、制度のさらなる普及・定着につなげてまいります。 県としては、国、市町や関係団体等と連携し、持続可能で活力ある地域社会の実現に資するよう、労働者協同組合法の円滑な施行に向けて取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 三坂観光スポーツ文化部長。    〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 ◎観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) 県内の貸切りバス事業についてのお尋ねにお答えします。 貸切りバスは、修学旅行や団体旅行をはじめ、本県への誘客促進に欠かせない重要な交通基盤ですが、近年、コロナ禍による需要の減少や、長引く燃料価格高騰等の影響により、貸切りバス事業者の経営環境は一段と厳しさを増しています。 このため県としては、バス事業者の経営基盤の強化を図り、その事業継続を支援するため、昨年度、貸切りバスを利用した宿泊を伴う旅行商品に対する助成制度を創設するとともに、経常的に必要となる車両の維持経費や高騰する燃料費などの一部を補助することとしたところです。 また、貸切りバスの運賃・料金制度については、現在、地域の経済情勢や事業者の経営状況、安全コストなどを考慮し、各地方運輸局のブロックごとに、それぞれ異なる公示運賃が設定されているところです。 そのため、お示しの下関市では、中国ブロックより低い運賃設定がされている九州ブロックの事業者が参入し、地元の事業者が業務を受注することが難しい状況となっています。 県としては、厳しい経営環境にある県内貸切りバス事業者を支援する観点から、国に対し、今後の制度の見直しに当たって、こうした地域の実態も踏まえた検討がなされるよう、働きかけてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 教育に関する数点のお尋ねにお答えします。 まず、デジタルマップの活用についてのお尋ねのうち、児童生徒の通学路での安全対策についてです。 子供たちが安心して通学できる環境を整えていくためには、学校、教育委員会、道路管理者、警察等の関係機関が、家庭や地域の協力を得ながら緊密に連携し、通学路の安全対策に取り組むことが重要です。 そこで県教委では、市町教委と連携しながら通学路の危険箇所調査を実施するとともに、関係機関で構成する通学路安全対策合同会議を開催し、安全対策の着実な推進に向けて取り組んでいます。 また、学校においては、コミュニティ・スクールの仕組みを生かし、児童生徒が主体となり、地域と連携・協働した安全マップ作りや小中合同での安全点検を実施するなど、子供たちの安全に対する意識を高め、主体的に行動できる力を育んでいるところです。 お尋ねのデジタルマップにつきましては、このたび、県警が運用を始めたところであり、県警と連携し、児童や生徒、教職員、保護者、地域に向けて積極的に情報発信をしていくとともに、今後、一人一台タブレット端末による活用を含めた効果的な指導方法について検討を進めてまいります。 県教委といたしましては、子供たちのかけがえのない命を守るため、通学路に関わる全ての関係者と一体となって、安全対策に全力で取り組んでまいります。 次に、多様な学びの場についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育についてです。 本県における、日本語指導が必要な児童生徒は、ここ数年百人超えと一定数存在しており、そのような児童生徒が、授業の内容や互いを理解しながら共に学べるよう、個々に応じた日本語指導を行うことが重要であると考えています。 このため、県教委では、教員による日本語指導の充実を進めており、対象となる児童生徒が多く在籍する地域に、常勤の日本語指導担当教員八名と非常勤講師六名を配置しているところです。 また、その増員につながるよう、定数算定基準の見直しを国に要望しています。 さらに、日本語指導が必要な児童生徒が少ない地域への支援も欠かせないことから、本年度より、本県独自の取組として、山口県立大学と連携し、オンラインによる日本語指導を実施することとしています。 県教委といたしましては、市町教委や地域の日本語教室の取組も踏まえ、関係機関と緊密に連携しながら、引き続き日本語指導が必要な児童生徒への支援の充実に努めてまいります。 次に、公立夜間中学校についてです。 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、外国籍の方などの、義務教育を受ける機会を実質的に保障するために重要な役割を果たすものと認識しています。 県教委では、これまで夜間中学の設置は地域の実情を踏まえた判断が必要であることから、国の支援制度等の周知広報や国の委託事業を活用したニーズ調査の実施、各市町教委への継続したヒアリングの実施等により、需要の把握に努めてきたところです。 現時点では、各市町における設置のニーズは確認されていませんが、国において実施された令和二年国勢調査の結果が先日公表され、本県における未就学者は八百五十一人、最終卒業学校が小学校の方は七千九百二十五人ということが明らかになりました。 こうした方々の中に、夜間中学への入学を希望する方が含まれている可能性もあることから、改めて潜在的な需要の有無を全県的に把握していく必要があると考えています。 このため県教委といたしましては、義務教育未修了者数や在留外国人数などの最新の状況を踏まえ、当事者に届く調査となるよう、手法の検討を行い、市町教委や関係機関等と連携しながら、今年度中のニーズ調査の実施に向け、取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) デジタルマップの活用についてお答えいたします。 通学路における子供の安全対策は、県警察の重要課題の一つであり、総力を挙げて取り組んでいるところであります。 議員お示しのデジタルマップを活用し、子供に対する声かけ事案や交通事故の発生場所を見える化することにより、保護者や教職員への注意喚起など、子供を守る効果的な対策の立案が期待できます。 こうした活用を通じて、子供が被害に遭う声かけ事案や交通事故の未然防止を図ってまいります。 まず、子供に対する声かけ・つきまとい事案については、性犯罪や誘拐等の重大な事件に発展するおそれが高いことから、県警察では、発生時間や発生場所、行為者の特徴などを分析して行為者の早期特定に努めているところです。 現在、声かけ事案等に関しましては、県警ホームページやメールマガジンなどで情報発信を行っておりますが、今後、危険性の高いものなどについて、さらに効果的な情報発信ができるよう、デジタルマップの活用を進めてまいります。 次に、交通事故が発生しやすい場所については、お示しの山口県オープンデータカタログサイトに人身事故情報を提供しており、デジタルマップへの事故情報の表示や、データとしての活用が可能となっております。 また、県警ホームページ上にも、県民の方々に、いつ、どこで、どのような交通事故が発生しているのかを身近に感じていただけるよう、山口県交通事故マップを掲載することとしており、様々な態様の交通情報を表示させ、分かりやすくタイムリーな情報提供を行ってまいります。 県警察としては、今度とも、デジタルマップの活用はもとより、積極的な情報発信によって、保護者や教職員で情報共有していただくとともに、引き続き教育委員会等と連携し、通学路の安全確保と保護者の方々の不安払拭に向け、各種対策の強化をしっかりと進めてまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。    午前十一時四十二分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第十四号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 酒本哲也君。    〔酒本哲也君登壇〕(拍手) ◆(酒本哲也君) 民政会の酒本哲也です。通告に従いまして、順次質問いたします。 まず、外国人観光客の受入れ再開についてお伺いします。 新型コロナが流行する以前、東京五輪が二〇二〇年に開催されることを念頭に、国は訪日客数を二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年には六千万人に増やすという目標がありました。 二〇一九年までは、私が住んでおります下関市のウオーターフロント地域にも土日に限らず多くの外国人観光客が訪れ、にぎわっていたことを思い出します。 また、二〇一九年四月には、国土交通省が港湾法の規定に基づいて下関港を国際旅客船拠点形成港湾に指定され、スイスのMSCクルーズ社と連携し、世界最大級の二十二万トン級のクルーズ船が数多く寄港する予定でしたが、新型コロナの流行を境にクルーズ船の姿も見ることがなくなりました。 最近では、新型コロナも少しずつ落ち着きを見せ始めてくる中、先月二十六日、岸田総理大臣は外国人観光客の受入れを六月十日から再開する考えを表明し、様々な制約の中ではありますが、約二年ぶりに受入れが再開しました。 現時点で一日当たりの入国者数は上限で二万人ですが、ウイズコロナの定着と感染状況が今以上に落ち着けば、制限は緩和してくると思われます。 コロナ終息後に行きたい国、断トツトップである日本は円安傾向も重なることから、規制範囲内いっぱいの外国人観光客が来日することが予想でき、特にインバウンドを中心とした観光産業に明るい兆しが見えてきたのではないかと思います。 受入れを再開しようとする今、日本経済の潜在力に大きな影響を与え、成長の起爆剤ともなり得るインバウンド戦略の再構築は喫緊の課題であります。 私は、コロナ前と同じ感覚で外国人観光客の受入れを進めていくのではなく、東京一極集中の是正やデジタル田園都市構想などの政府の政策とインバウンド戦略を連動させて、外国人観光客を地方に誘導して地域活性化につなげることが重要であると考えます。 年間三千万人を超えていたコロナ前に戻るには時間がかかるという指摘もありますが、二〇一九年には訪日外国人観光客によるインバウンド需要は四・八兆円規模に達しており、このたびの受入れ再開は観光業や地域経済の回復に大きくつながることが期待されます。 観光庁は、今月七日、旅行会社向けのガイドラインを公表しました。入国の対象は、新型コロナの陽性率による区分けで最もリスクの低いとされているアメリカや韓国、中国など九十八の国と地域が対象になるということです。この九十八の国と地域から入国する場合はワクチンを接種しなくても検査などを免除するとし、ガイドラインでは旅行会社がツアーを販売する際に、参加者に対しマスクの着用をはじめ、感染防止策を徹底することや、国内で入院したり治療を受けたりする場合に備えて民間の医療保険に加入してもらうことなどを説明し、同意を得ることが盛り込まれております。こうした手順に従わない場合は、ツアーへの参加が認められない可能性があるということです。 また、ツアー中は添乗員が場面に応じて感染対策のこまめな注意喚起を行うよう求めていますが、海外の旅行会社、受け入れる側の観光施設、宿泊施設もガイドラインの内容が非常に分かりにくいという指摘もあります。 様々な制約の中での受入れ再開となりますが、本県も柔軟かつしっかりとした受入れ体制で対応しなければなりません。 そこでお伺いします。新型コロナの問題以前は中国と韓国に偏っていたところがあり、日本との外交関係が悪化すると両国の観光客が一気に減少し、外国人観光客全体が大きく減少してしまうリスクがありました。より幅広い国、地域から訪日観光客を呼び込むことがインバウンド需要の持続性への期待を高めると思いますが、コロナ発生後の本県の情報発信等、これまでの取組をお伺いします。 宿泊施設等は、急ピッチで受入れ体制を進めております。観光庁が発表したガイドラインではホテルや旅館に対し、目立つ場所に外国語で感染防止対策を呼びかける掲示を行うことなどを求めていますが、このガイドラインに対し、県が早急に対応すべきことは何かお伺いします。 新型コロナの感染者が出ても、ほかの人はツアーを継続できる内容となっていたことを歓迎する声が出る一方、旅行の中止が求められる濃厚接触者の定義が分かりにくいという指摘も出ております。陽性者が出た場合に備えて、旅行会社に対してはあらかじめ自治体の相談窓口などを確認した上で陽性者の医療機関の受診対応や、濃厚接触者の範囲を特定することを求めるとされていますが、こちらのほうは準備は万全でしょうか、お伺いします。 コロナ流行前でも町では外国人とのトラブルをよく目にしましたが、マスクの着用等、文化の違う外国人からすれば厳しく分かりにくいガイドラインができた中での再開となり、急激にトラブルが増える可能性があります。警察の対応策をお伺いいたします。 次に、ローカル線の維持について質問いたします。 公共交通の中でも鉄道事業者への支援に関する考え方と国への働きかけについてお伺いします。 昨年度に引き続き、今年度もコロナ禍を受け公共交通に関する運行継続や燃料価格高騰対策に関する支援が実施され、事業者から感謝の声を頂いております。しかし、これまでの県の支援策はJRのローカル線は含まれておりません。コロナ禍で影響を受けているのはバス、タクシー、フェリーだけではなく、各鉄道会社も甚大な影響を受けております。 JR西日本の経営は、新幹線や関西地区で収益を上げ、赤字路線の地方ローカル線を補っており、収益の柱でもある新幹線の利用はコロナ禍による出張の激減などから経営が危機的な状況であります。経済誌の特集にも民営鉄道を含めた主要鉄道で倒産しそうな鉄道会社ランキングにおいてJR四国やJR北海道よりも低い、二十一社中最下位となっております。 JR西日本の決算は、二〇二〇年度、二千三百三十二億円の最終赤字となり、この状況が続けば四年後に倒産すると掲載されておりました。JR西日本の長谷川社長は経営悪化で維持が難しくなっているローカル線について、一キロ当たりの一日平均利用者数が二千人未満の区間で優先的にサービスを見直す考えを明らかにしました。 これを受け、中国地方知事会で村岡知事は、住民の生活や地域経済に大きな影響を及ぼすもので、大変懸念している。区間ごとの数字で判断するのではなく、ネットワークを維持することを考えてほしいと発言されました。 要望では、減便や終電の繰上げを決めた、今年春のダイヤ改正についても再考するよう求めました。知事は要望後の取材に対し、厳しい経営状況への理解を示しつつ、もうかる路線だけを残してあとは切るということが行われると、中国五県全体にとって大きな損失であり、個別の路線で考える課題ではないと発言されました。 JR西日本の長谷川社長は、各県と議論して持続可能な地域交通の実現に向け努力していきたいと話す一方、「経営が厳しい状況で利用が少ない路線をこのままに放置できない。赤字を継続しながら事業としてやっていくのは非常に困難。輸送密度が二千人に満たない路線はどのような形にしても黒字化は非常に難しい状況であり、バスへの転換など、新しい時代に合った地域交通を再構築していくことを一緒に考えていただけないか」と意見をされております。 また、本年四月、対象となる三十線区の収支を公表し、バス路線への転換も含めて議論を進めたいとしています。 忘れてはならないのは、JR西日本は一九八七年より民間の企業であるということです。民営化から既に三十年以上たっており、国有の鉄道ではありません。JR西日本は人件費の削減と雇用の維持を図る必要があるとして、運転士を含む約三百人の社員が最長二年間、飲食店やホテルなどグループ外の企業に出向しました。給料は受入先の企業が負担します。 一日当たり最大で千人以上の社員を休ませる一時帰休も実施していますが、雇用を維持しながら人件費を削減するため、社員の出向を決めたということです。 また、二〇二〇年の冬から臨給は組合員平均で三十五万円から四十万円の減給となっているそうです。JR西日本の社員の方々からも状況を伺いましたが、雇用されている社員の皆さんが大変苦労されております。今月七日、美祢線と小野田線の沿線四市の代表が村岡知事を訪問し、路線維持に向け協力を要請しました。美祢市の篠田市長は県への要望後、市民の合意を得られるのであれば応分の負担はやむを得ないと話されました。 私は誰もが予想していなかった新型コロナの影響を受けている今、国有の鉄道ではなく一民間業者であるJR西日本の企業努力だけでは限界があると考えます。 県として県民生活を支える交通ネットワークの一部を担うローカル線の維持に向け、積極的に取り組むべきだと考えます。県だけでは対応できない課題とも認識していますが、県としてローカル線に対する考え方やさらなる支援に向けた国への働きかけについて見解をお伺いします。 最後に、LGBTQに対する本県の取組についてお伺いします。 二〇一五年十一月から東京都渋谷区と世田谷区で、同性カップルに対しての二人のパートナーシップが婚姻と同等であると承認し、自治体独自の証明書を発行する制度が施行されました。それから約七年が経過した二〇二二年四月一日現在、パートナーシップ制度の導入自治体は二百九自治体と、人口カバー率で五二・一%となりました。 また、都道府県単位では今年四月に秋田県と福岡県でパートナーシップ宣誓制度がスタートし、茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県、三重県、青森県を含めて八府県で導入されております。 また、今年度は秋頃に東京都でパートナーシップ宣誓制度が導入される予定になっております。 福岡市のように人口百万人以上の大都市から、人口が五万人を超えない小規模な市や町で導入しているところもあります。 日本労働組合連合会が二〇一六年に行った調査では、日本のLGBTQの割合は十三人に一人という調査結果が出ておりますが、多くのLGBTQの方は自分がLGBTQであることをオープンにしておりません。 以前よりもLGBTQの認識が広がり、差別をするようなことは減ってきてはいると思いますが、自らオープンにすることはなかなかできず、特に地方では生きづらい社会が続いております。 私が経営している会社にLGBTQをオープンにしていた社員がおりました。戸籍上は男性ですが、自分が男性として生きていくことに違和感を覚え、数年間悩んだと聞いております。オープンにしてからも下関市に住んでおりましたし、もちろんのことですが、私の周りは当たり前のこととして受け入れておりました。しかし、まだ地方では様々な差別、偏見があり、昨年、退社し、下関にもおりましたパートナーと一緒に埼玉県に移住し、現在は東京で働いております。今でもよく連絡を取り合いますが、やはりパートナーシップ制度がある地域は理解が進んでいるのと、人の目も気にしなくてよいことがストレスなく生きていけると元気な声で話してくれます。上京し、精神的にも落ち着き、元気に生活してくれてよかったと思う一方、なぜ住みにくい環境を変えられなかったのかと考えると本当に残念に思います。もっとLGBTQに対しての偏見、差別のない理解の進んだ県にならないといけないと連絡をするたびに強く感じ、改めて変えていかなければならないと思います。 昨年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。オリンピック憲章では、性別や性的指向による差別の禁止を明記しており、開催国にもこれを求めております。性的指向による雇用差別を禁止している国の数はEU加盟国の全て、また、カナダやアメリカなどを中心に二〇一九年時点で八十か国に上ります。G7の中でもこうした法律を整備していないのは日本だけで、OECD諸国のうちLGBTQに関する法整備状況を比べると三十五か国中三十四位でワースト二位と、日本国内における同性婚は現行法では認められていないという現状ですが、LGBTQに対する理解は年々急速に高まっております。 昨年九月に宇部市でパートナーシップ制度が導入されました。私は大変大きな一歩だと思っております。 本県もこれまで以上に前向きに多様な性を認め合い、共に生きていく社会に向け進めていくべきだと思います。 そこでお尋ねいたします。本県では宇部市が昨年九月にパートナーシップ制度を導入しましたが、県内では宇部市の一市だけです。この件に関する県の議会答弁は、国の動向を見守っているところであり、現時点ではパートナーシップ制度の導入は考えていないとのことでした。 今年の四月一日だけでも、約五十の自治体がパートナーシップ制度を導入する等、日本全体にこの制度の必要性が高まる中で、山口県は現時点考えていないという後ろ向きな答弁だけではなく、いつになれば少しでも前向きに考えるという答弁を頂けるのでしょうか。段階があるのであれば具体的にその段階の内容をお示しいただきたいと思います。改めて本県の見解をお伺いします。 次に、ジェンダーレス制服についてお伺いします。 文部科学省は二〇一六年に、性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施についてという周知資料を発表し、各学校では服装、髪型、トイレなどの対応の幅を広げております。 全国の小・中・高校の教員千八百人を対象にLGBTQの児童生徒への服装の配慮の現状を調べた結果、三九%が服装に配慮している、二〇%が今は服装による配慮はしていないが、今後は予定していると回答し、合わせると約六割の学校が服装の配慮を導入、また検討中のようです。 宇部市立藤山中学校がジェンダーレス制服を導入することが話題となりました。このスラックスとスカートの二種類から選ぶことができる性差のないジェンダーレス制服は、生徒たちから制服を変えるための議論が始まったということです。 生徒総会の校則を見直そうという議論の中で、男女の区別をなくしていこうと社会が変わりつつあるのに学校の決まりはそうではないと一人の生徒が発言し、学校側が全校生徒にアンケートを実施した結果、八六%の生徒が制服をジェンダーレス化することに賛同し、実施に至りました。 児童生徒本人が違和感のある制服を着続けないといけない精神的苦痛は計り知れません。 日本社会の多くは、選択肢を最小限にし、古い形式に縛られることが多いかと思われます。 そこでお伺いします。多様性を認め合う社会の実現が求められる今、児童生徒一人一人が自分らしく心地よく着ることのできるジェンダーレス制服を積極的に取り組むべき時期だと思いますが、県としてのこれまでの取組、また今後の見解をお伺いします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 酒本議員の御質問のうち、私からはローカル線の維持についてのお尋ねにお答えします。 地方ローカル線は沿線人口の減少や長引くコロナ禍の影響等により利用者が大幅に減少しており、その経営環境は非常に厳しい状況にあります。 こうした中、JR西日本が利用者の減少が著しい地方ローカル線の今後の在り方についての議論を進めたいとして、輸送密度二千人未満の路線について、区間ごとの収支率などの情報を公表したところです。 これを受け、このたび美祢線・小野田線沿線の各市長から利用促進など両路線の維持・確保に向けた取組の一層の推進や国への積極的な働きかけなどを求める要望を頂いたところです。 地方ローカル線は沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興などを支える重要な基盤であり、私は区間ごとの収支で存廃を判断することは適当ではなく、広域的なネットワークとして維持されることが必要であると考えています。 このため私は国に対し、全国知事会による要望や有志知事による緊急提言に加え、さきの政府要望においてもJRを含めた鉄道事業者の経営基盤安定化への支援などを求めたところです。 また、現在、国において検討されている鉄道ネットワークの在り方についての方向性も踏まえ、今後、沿線自治体とJR西日本との協議が行われる場合には、県も協議に参画し、利用促進など地域の実情に即した取組を検討してまいります。 私は、今後とも沿線市町と連携し、地域住民の日常生活や交流人口の拡大に不可欠な基盤である地方ローカル線の維持に向けて取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 三坂観光スポーツ文化部長。    〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 ◎観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) 外国人観光客の受入れ再開についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、海外に向けた情報発信についてです。 これまで台湾や韓国などの重点五市場においては、現地の観光プロモーターと連携し、各市場のニーズに応じてコロナ禍でも可能な取組としてオンライン商談会やSNSを活用した戦略的なプロモーションを展開してきたところです。 また、欧米豪市場に対しても瀬戸内七県が参画する、せとうちDMOや、欧米豪にネットワークを有する航空会社と連携し、オンラインを活用した効果的な情報発信を行っているところです。 さらに、デジタル技術を活用し、観光事業者の多言語での情報発信を支援するとともに観光動態に関するビッグデータに基づき、旅行客のニーズに即した効果的な広告を配信し、本県へのインバウンド需要の拡大を図ることとしています。 次に、外国人観光客受入れのためのガイドラインについてです。 このガイドラインは、国が旅行業者や添乗員、宿泊事業者等の観光事業者に対し、感染拡大防止のために留意すべき事項や、緊急時の対応について示したものです。 県としては、県内の観光事業者はもとより、市町や観光事業者の支援窓口である商工会議所等に対してもガイドラインの趣旨や内容について周知徹底を図ったところです。 次に、陽性者が発生した場合の対応についてです。 このたびの外国人観光客の受入れに当たっては、旅行業者が責任者となり、ツアーの全行程に添乗員が同行の上、参加者の行動管理を行うことが条件にされるなど、厳格な感染防止対策が取られています。万が一、陽性者が発生した場合においても、ガイドラインに基づき旅行業者が地域の医療機関や保健所と連携しながら、適切に対応できる体制が整っているところです。 県としては関係機関と緊密に連携し、外国人観光客の受入れ促進と感染防止対策の両立を図りつつ、インバウンドの早期回復に向けて取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 藤田環境生活部長。    〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 ◎環境生活部長(藤田昭弘君) LGBTQに対する本県の取組についてのお尋ねのうち、パートナーシップ制度の導入についてお答えします。 LGBTQなどの性的マイノリティーを理由とした偏見や差別はあってはならず、多様性を認め、それぞれの生き方が尊重される社会を構築することが重要です。 このため県では性の多様性についての県民の理解が深まるよう、セミナーの開催やリーフレットの配布など普及啓発に取り組んでいるところです。 こうした中、国において、現在、性的マイノリティーに関する法制度が議論されていることなどから、県では国の動向を見守っているところです。したがって、現時点ではお尋ねのパートナーシップ制度の導入は考えていませんが、宇部市など導入自治体の運用状況等について引き続き情報収集を行ってまいります。 県としては、まずは県民への普及啓発に取り組むことにより、性的マイノリティーの方々への正しい理解を促進し、性の多様性を認め合う意識の醸成を図ってまいります。 ○副議長(二木健治君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) 外国人観光客への警察の対応策についてお答えいたします。 外国人観光客が増加することによって、落とし物や道案内、事件・事故への対応に加え、御指摘の新型コロナウイルス感染防止対策への対応を含め、様々なトラブルが増えることが予想されます。 外国人観光客に対応するに当たり、一番の障壁は、言葉の壁になるものと思われるため、警察では警察署や交番の窓口にコミュニケーション支援ボードという五か国語に対応できるボードを設置しており、簡単な要件であればこれで対応できるようにしております。 また、山口県観光連盟と契約を結び、平成二十八年八月から、やまぐちコールセンターによる電話での通訳対応も行っているほか、外国人からの一一〇番通報に際しては同コールセンターとの三者間通話によって通報内容を正しく把握する体制を整備しております。 さらに、平成三十一年度からは、ポリストリプルアイというスマートフォンの形状をした通信機器を整備し、街頭活動を行う警察官等に配備しておりますが、これに多言語翻訳機能を有するアプリを搭載しております。 このような取組によって外国人観光客との円滑なコミュニケーションを図り、外国人観光客が絡む事件・事故はもとより、新型コロナウイルス感染防止対策に関連するトラブルにも関係機関と連携して適切に対応してまいります。 ○副議長(二木健治君) 木村副教育長。    〔副教育長 木村香織君登壇〕 ◎副教育長(木村香織君) LGBTQに対する本県の取組に関するお尋ねのうち、ジェンダーレス制服についてお答えします。 性的指向・性自認に係る児童生徒への対応に当たっては、その心情等に配慮することが重要であり、これまで県教委では平成二十七年四月の文部科学省通知を受け、きめ細かな対応について各学校に依頼するとともに、小・中・高等学校等の教職員を対象とした研修を実施したり、授業でLGBTQについての内容を扱うなど、その理解促進に努めてきたところです。 県教委としましては、今後も違和感のある制服により精神的な苦痛を感じる児童生徒の心情等を教職員がよく理解し、適切に対応するとともに、いわゆるジェンダーレス制服の導入については各学校の実情に応じ、児童生徒、保護者、地域等での共通理解を図りながら進められるよう、学校や市町教委に対し助言等を行ってまいります。 ○副議長(二木健治君) 橋本尚理君。    〔橋本尚理君登壇〕(拍手) ◆(橋本尚理君) 私は、自由民主党新生会の橋本尚理でございます。質問に入る前に、一言述べさせていただきます。 私は、初当選以来、我が国の安全保障や、日本のよき伝統文化を守り、正しく継承していくことが、私に与えられた県議としての使命であるとの信念から、この議場でいわゆる保守的な質問や提言を何度となく繰り返し訴えてまいりました。 最も印象に残っておりますのが、初めてこの議場に入った際、伝統ある山口県議会本会議場に国旗「日の丸」が掲揚されてないことを知り、愕然としたことであります。 そこで、この席から何度となく、本会議場に国旗を掲揚してくださいと訴え続けてまいりました。 その都度、共産党や野党の皆さんから激しい抵抗を受け、議会が止まったこともあり、先輩県議から、一年生議員で議会を止めたのは君が初めてだ、ただ、君は正しいことを言っているので、このまま続けなさいと激励を受けましたが、多くの県議からは、山口県議会に右翼が来たとやゆされたものであります。 しかし、御覧のように、平成十四年二月定例会より、この本会議場に国旗「日の丸」と県旗が掲揚されたのであります。当時の島田明議長から、この国旗は君が揚げたのだから、国旗に君のサインをしていいよと言われたことは、今でもはっきりと覚えております。サインはしておりませんが。 その後も、ジェンダー問題や拉致問題、教科書採択問題、何より私の地元で起こった米空母艦載機部隊の移駐問題を、保守本流の立場で真正面から取り上げてまいりました。 また、一貫して、かつては厚生委員会、今では環境福祉委員会と名称は変わりましたが、同じ委員会に所属し続け、多くの身障者団体や身障者支援団体からの要望を受けてまいりましたが、昨年、ある障害のある子を持つお母さんから、うちの子は普通の公園で遊ばすことができませんという話を初めて聞き、衝撃を受けたのであります。 当初、なぜ公園で遊べないのと理解に苦しみましたが、よく聞いてみると、多くの公園には遊び場へのアクセスや遊具の利用を拒む物理的バリア、人々の無理解や偏見による心理的バリアなど、様々な障害があるとのことでした。 障害のある子と家族を遊びから遠ざけることは、健康面や発達面の課題、自立心や自己肯定感の低下、地域での孤立など、障害のある子に長期的な困難や課題をもたらすおそれがあり、また障害のない子にとっても、多様な仲間と出会い、育ち合う機会を失うことにつながるのであります。 そこで、公園等の身近な遊び場において、障害のある子がそれぞれの特性に応じ、自らの力を生き生きと発揮し、安心して遊び育つことができる環境、いわゆるインクルーシブ社会を実現させなければならないとの思いに至り、昨年八月に、遊びと育ちのインクルーシブ架け橋会を設立し、昨年十月と今年五月に、ふくろう公園インクルーシブDAYを開催したのであります。 昨年からインクルーシブ社会の実現に向けた質問をしておりますが、私の主義主張をよく知る県議さんからは、橋本さんがいつも嫌っている片仮名言葉を使うのはどうかと思いますよ、そもそも橋本さんがインクルーシブ社会の実現を取り上げること自体が似合ってませんよと、温かい忠告を頂きました。 ただ昨年来、私が話を聞いた、障害のある子を持つ多くのお母さんたちの顔を思い浮かべると、やはり私はこの問題に全力で取り組まざるを得ないとの結論に至ったのであり、私自身、インクルーシブという言葉を覚えるのに時間がかかりましたが、あえてこの言葉を使い続けることにより、一人でも多くの県民にインクルーシブの持つ意味を知ってもらおうと感じたからであります。 先日、自衛隊ボランティア部の代表から、橋本さん、インクルーシブDAYに参加したおかげだと思いますが、最近、基地内の日常会話によくインクルーシブという言葉が出てくるんですよと、うれしい話を聞くことができました。 先日実施した第二回ふくろう公園インクルーシブDAYでは、一回目をはるかに上回る、障害のある子百五十五人、その家族三百七十二人の計五百二十七人の参加があり、二百三十六名のボランティアスタッフでサポートをさせていただきました。 今回は、岩国医療センター附属看護学校の一年生八十人が正規の授業として参加してくれ、希望のある御家族に二人一組で付き添い、サポートし、さらに学生のアイデアで、手づくりで輪投げ、ボウリング等を作製し、縁日コーナーを実施してくれ、子供たちも大喜びで、保護者からは、「慣れない初対面の子供にずっと付き添っていただき、すてきな笑顔で接してくれて感謝です。岩国にこんなすばらしい学生さんがいることをうれしく思いました。できれば保育士さんになってほしいです。(笑)」とありましたように、看護学生にとって患者さんの気持ちが理解できる、立派な看護師になる一助となる体験であったと確信できました。 さらに、今回からは、岩国警察署や米海兵隊軍人が制服姿で参加してくれ、米軍岩国基地消防隊からは、子供たちの大人気となった自走式消防ロボットも展示していただきました。 また、岩国総合支援学校が長年取り組んでいるリングプルの回収を呼びかけたところ、この活動に看護学生たちが共感して、全校挙げて取り組んでくれたおかげもあり、一個○・五グラムのリングプルが、驚くことに八キロも集まり、後日支援学校に贈呈をいたしました。 当日は、山口県や広島市などの行政機関の方々も視察に来られ、yabをはじめ、幾つかのマスコミも特集を組んでいただくなど、インクルーシブ社会の実現に向けての歩みを進めるイベントになったものと、スタッフ一同、喜んでおります。 そこで、今回はインクルーシブ社会の実現に特化して、イベントに参加した保護者から頂いたアンケートや、私がお母さんたちから聞いた話を紹介をしながら、十数点の質問をさせていただきます。 まず最初に、障害児の増加についてお伺いいたします。 本県では、全国より早いスピードで少子高齢化が進行しており、特に学齢期の子供の数は、大幅に減少しております。 ところが、今回二回目となるイベントに向け、特別支援学校や、岩国市内の普通学校の支援学級に通う児童生徒数を調べましたところ、いずれも昨年より増加しており驚きました。 岩国総合支援学校では、ここ数年、小中学部、特に小学部に在籍する児童数が増加しており、五年前と比較するとおよそ一・五倍にまで増加し、全国でも同様に増加傾向が見られております。 このように、支援教育を必要とする子供たちが増加していることについて、県教委はその原因をどう認識しており、今後どのように対応していかれるのか、お伺いいたします。 次に、あいサポーターの取組充実についてです。 県では、障害者への配慮やちょっとした手助けを行う、あいサポート運動において、あいサポーターや認定企業・団体の育成を進めておられますが、昨年度末時点で、あいサポーターは二万九千八十三人、認定企業・団体は二百四十五と、年々増加しております。 私もあいサポーターであり、私たちの、遊びと育ちのインクルーシブ架け橋会も先月十一日に、あいサポート団体に、第二百四十八番目の団体として認定を頂いたところであります。 イベントの参加者からのアンケートに、「今日は障害に対してみんな理解がある、みんなに見守ってもらえる、偏見の目がないと思ったらとてもリラックスできました。」また、「子供の行動に対して理解してもらえるという安心感は、このイベントでしか味わえないものだと思います。」とあるように、障害を知り、共に生きるあいサポート運動がさらに広がることで、障害や障害者に対する理解が促進され、障害の有無にかかわらず、安心して暮らしていけるインクルーシブ社会の実現につながっていくものと確信をいたしました。 そこで、サポーター数や認定企業・団体数の増加に向け、これまでどう取り組み、今後どう取り組まれようとしているのか、お伺いをいたします。 次に、「この子には障がいがありますマーク」についてです。 アンケートに、「私の子供は障害のある子とない子の兄弟です。見た目では判断できません。今日、せっかく付き添ってくれた学生さんが、障害のない子を連れて行かれ、付き添ってほしいのはその子じゃないのにと、残念な思いをしました。」また、「外出した際、外見では分からない障害のある我が子が異常な行動を取ると、周囲から冷たい目で見られてしまいます。車椅子や白いつえなどを利用し、外見で障害があると分かる子には、周囲も優しく接してくれているのに、悔しい思いがします。」との声も聞きました。 県では、外見からでは障害の有無が判断できない方でも、周囲から一定の配慮を受けられるよう、ヘルプマークやサポートマークの普及を行っているものと承知しておりますが、今では広く周知された、同じように外見から判断できない妊娠初期の妊産婦がつけるマタニティーマークのように、「この子には障がいがありますマーク」のような民間の取組も生かしながら、障害者に対する合理的配慮を進めることが、さらに重要であると考えますが、県の御所見をお伺いします。 次に、特別支援学校へのインクルーシブ遊具の導入促進についてですが、県教委におかれましては、昨年度末、岩国総合支援学校に三連サポート付ブランコを導入されました。県下初となるインクルーシブ遊具の導入であり、まずは、素早い対応に感謝する意味で、あるお母さんからのファクスを紹介します。「私の子供は、この春、岩国総合支援学校小学部に入学しました。入学式の日、中庭に出て一番にブランコに乗って遊んでおりました。学校生活が楽しいそうです。ありがとうございました。」 子供たちは、新しい遊具ができたことに大変喜んでおり、毎日のように我先にと遊んでいるようですが、一方で、このブランコは小学部の中庭に設置されていることから、中学部の生徒は使用しづらい面があると残念な声も聞きました。 学校外に自由に遊べる公園などが少ない中、特別支援学校に通う子供たちが、安心して思い切り遊べるよう、さらなるインクルーシブ遊具の導入に取り組んでいただきたいと思いますが、県教委として、特別支援学校へのインクルーシブ遊具の導入に、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 次に、教員へのインクルーシブ教育についてです。 昨年、この議場で私は、日本では障害のある子と障害のない子が別の学校や教室で学んでおり、お互いの理解が進みにくい状況にあることから、障害のない子たちにも、障害のある子に対する理解を広めることが重要であると申し上げました。 障害のある子にもない子にも、共に理解を広める取組を確実に実施していただくためには、学校において、誰よりも子供たちに近くで接している教員が、インクルーシブ教育への理解を深めることが何より重要であると考えます。 人事異動により、特別支援学校に初めて勤務する教員も、その日から障害のある子供たちに日々接していかなければなりません。昨年、インクルーシブ教育を理解せずに特別支援学校に異動になり、考えられないような態度で子供たちに接する教員がいると、あるお母さんからお聞きしましたが、その教員は、この春、普通学校に異動されたとのことで安心をされておりました。 また、「教員への研修制度はあるのですか。障害のある子に対しての知識が少ない先生がいます。全体でのスキルアップを望みます」と強い声も聞きます。 そこで、現場の教員が改めて、我々が目指す共生社会、インクルーシブの理念を見詰め直し、真に理解していく取組が必要であります。さらには特別支援学校には、インクルーシブ教育を十分に理解している教員の配置が必要と考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 次に、障害児に対応したトイレについてです。 障害児の中には色で男女トイレを理解している子供もおり、多目的トイレは色での判別ができず、かえって分かりにくくなったという声を聞きます。 多目的トイレの整備促進に当たっては、障害のある方の視点を持って進めていくことが重要と考えますが、県では多目的トイレの整備促進について、どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 あわせて、岩国総合支援学校のPTAから、昨年の夏休みに高等部二階のトイレが洋式に改修されると、他の階の生徒にも大人気となりましたとの話も聞きました。 岩国総合支援学校では洋式化が進んでいるとは聞きますが、県下の特別支援学校のトイレの実情と、今後のトイレ改修にどう取り組んでいかれるのか、県教委にお伺いをいたします。 次に、放課後児童クラブについてですが、国では、放課後児童クラブでの障害児の適切な受入れを図っており、本県でも多くの放課後児童クラブで受入れを行っているとは聞いておりますが、障害のある子を持つお母さんからは、近くの放課後児童クラブが受入れ可能かどうか、どの程度、どういう障害なら受け入れてもらえるのか分かりませんという声を聞きました。また、特別支援学校にはなぜ、放課後児童クラブがないのですかとの声も聞きます。 民間のデイサービスは必ずしも身近にあるとは限らず、県内の多くの小学校等で整備されている放課後児童クラブにおいて、障害児の受入れを一層促進するとともに、明確に周知する必要があり、特別支援学校にこそ放課後児童クラブが必要であると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 また、放課後等デイサービス事業所は、おおむね日曜日が休みであり、障害児の家族が日曜日に勤務のある場合などには、預け先がないという声もよく聞きます。 放課後等デイサービス事業所に対して、障害児が日曜日でも利用できるよう実施の促進を図るなど、対策が必要と考えますが、県ではどう取り組むのか、お伺いをいたします。 次に、児童発達支援についてです。 障害児には、個々の障害の状態や発達の過程、特性等に応じた児童発達支援が、未就学児の段階において特に重要であると考えられます。 今回のイベントを知り、広島市のこども療育センター三園から未就学児の十七家族の参加があり、アンケートには、「山口では、こんなイベントがあり、感謝しかありません。宇部空港の公園整備のことなど、障害のある人や家族に対して、いろんな形でケアをされており、うらやましく思います。」とあり、山口県に対してお褒めの言葉を頂きました。また、「子供を見守ってくれたので、同じ障害のある子を持つ方々とゆっくり話をすることができ、これからの子育てに少し自信が持てました」との声もありました。 さて、県では、今年度より、子育てAIコンシェルジュの運用を開始しておりますが、二月の委員会でお伺いしたところ、想定した問答例千七百のうち、障害児に関する問答例は四つしかないとお聞きし、強く改善を求めたところであります。 障害のある子供を支える家族、特に未就学児を持つ家族の子育ての悩みは、障害のない子供を持つ家族よりはるかに深く、相談窓口も限られております。そこで、障害児への発達支援をさらに充実させなければいけません。こうしたシステム等を通じて、障害児を育てる家族の声を拾い上げ、県の取組の改善や、新たな取組の創出に結びつけていくことが重要と考えられます。 そこで、児童発達支援、特に障害児、児童発達支援の一層の充実に向けて、県では今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 次に、障害児に対応した避難所についてであります。 東日本大震災のとき、横浜市に住んでおられたお母さんから、「二歳の子供を連れて指定された体育館に避難しましたが、停電により暗くなるとろうそくで明かりを取られました。我が子には多動性があるので、ろうそくを倒して火事を起こしてはいけないと思い、一晩中我が子を抱きしめていました。明るくなるとすぐ家に帰り、それからは自家用車に避難し、車中泊を続けました」と聞きました。 災害時において、障害児やその家族が一般の避難所に避難することは困難であり、また、福祉避難所があっても、おのおのが抱える障害にその避難所が対応しているのかどうか分からないのが、我が県においても現状であります。 先日、山口市宮野地区では、地区社協の協力で、一般の避難所を経由せずに自宅から直接福祉避難所に行ける独自制度をつくったとの報道がありました。 このように、様々な障害に対応した福祉避難所の設置促進と、明確な周知を図ることが重要と考えますが、県では今後どう取り組まれるのか、お伺いをいたします。 最後に、インクルーシブ公園の整備についてお伺いをいたします。 昨年の議会で二回ほど取り上げさせていただきましたが、その後、県内でも、宇部市が、山口宇部空港内の山口宇部ふれあい公園内にインクルーシブ遊具を設置されると聞いており、岩国市でもインクルーシブ公園の整備に向けて取り組んでおられます。県においても、こうした取組に遅れることのないよう、まずは要望させていただきます。 そこで、私は先月、日本初のインクルーシブ公園と言われている東京都立砧公園を視察してまいりました。 砧公園は、三十九万平方メートルもある木々に囲まれた大緑地公園で、私は三十分近く歩き、やっとの思いでインクルーシブ遊具を見つけることができました。そこで驚愕をいたしました。 ここは誰でも遊べる、みんなのひろばと名づけられていましたが、周りはフェンスで囲まれ、その中にインクルーシブ遊具が設置され、出入口は施錠された一か所しかありません。すぐさま、これはインクルーシブ公園ではない、障害のある子が遊ぶ公園だと感じたのであります。 当然のように、中で遊んでいたのは障害のある子とその家族だけでした。とても障害のない子がフェンスの中に自ら入って一緒に遊ぶという雰囲気はなく、これは、私たちが行っているふくろう公園インクルーシブDAYと同じではないかと感じたのであります。 いずれは、障害のない子にも参加してもらい、障害のある子もない子も一緒に仲よく遊んでもらうイベントにしたいという強い思いは我々持っておりますが、障害のない子に障害のある子の思いを本当に理解してもらえるのか、まだ私たちにも自信が持てないのであります。 ある参加者からのアンケートに、「インクルーシブDAYと言いつつ、実際は完全な分離。とても難しい問題だと改めて認識しました。やはり人材育成が大切。」とあり、まさに私たちが感じていることであります。また、このような公園の姿が当たり前の世の中になってほしいとの願いを書かれた方もおられました。改めて私たち、遊びと育ちのインクルーシブ架け橋会も、当たり前の世の中を実現させるために、頑張らなければいけないと決意をしたのであります。 また、先週、足立区の新田さくら公園を視察しました。ここには、車椅子でも利用できる複合施設がさりげなく設置してあり、囲いのフェンスはありません。足立区内の幾つかの公園には、サポート付ブランコや車椅子で利用できるテーブルセットなどが、やはりさりげなく設置してあるそうであります。私たちが目指すインクルーシブ公園は、これかなと感じたところであります。 そこでお尋ねをいたします。昨年の議会において、山口大学との共同研究の中で、インクルーシブな視点も取り入れた公園の新たな利活用方策や、それに伴う施設整備の方向性について、検討しているとの御答弁を頂いたところですが、真の意味でのインクルーシブ公園の整備に向けた、現在の進捗状況と今後の取組について、お伺いをいたします。 終わりに、インクルーシブDAYに参加した人からのアンケートの中で、私の印象に残った幾つかを紹介させていただきます。「いじわるをする子がいなくて楽しかったと子供が言ってくれました。」「ふだんは周りの目を気にして遊びに行きたがらない夫が、とても楽しみにしてくれ、率先して遊んでくれました。」「迷惑をかけるかもとちゅうちょしていたことにも、子供にチャレンジをさせることができ、子供をどんなふうに遊ばせればいいかを学べる機会になりました。」「公園に行ったら、必ず、駄目、危ない、やめなさい、すみません、ごめんなさいと注意したり叱ったり、謝ったりしていますが、今日は一度もそんなことはなく、安心して遊べたのは初めてです。私も障害児を持つ親として、子供たちのために何か頑張りたい、奮起したいと思いました。」「インクルーシブな社会へ向けて活動されている皆様から元気を頂きました。私も私なりにできる方法で、よりよい社会になるよう行動していきたいと思います。」 このように、障害のある子のためにも、その家族のためにも、そして、何より私たち自身のためにも、一日でも早くインクルーシブ社会を実現させなければならないと強く感じるイベントとなったのであります。 紹介する最後のアンケートです。「米軍の軍人さんがすごく優しかったです。」 米海兵隊から今回は二十名のボランティア参加でしたが、次回は五十名で参加すると約束をしてくれています。米軍基地を抱える町、岩国だからこそできる、フレンドリーでインクルーシブな日米交流になったことをお伝えをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 橋本議員の御質問のうち、私からはあいサポーターの取組の充実についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して生活をしていくためには、障害に対する社会全体の理解を深めることが重要です。 このため、私は、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、障害への理解を深め、共に生きる社会の実現を施策の柱として位置づけ、県民誰もが多様な障害の特性を理解し、必要な配慮を実践するあいサポート運動を県民運動として積極的に展開しているところです。 これまで、学校の授業や企業・団体の職員に対する研修等を通じて、この運動の担い手となるあいサポーターが三万人近く誕生するとともに、運動の趣旨に賛同するあいサポート企業・団体も約二百五十となるなど、県民の障害に対する理解は着実に進んでいます。 こうした中、私は、あいサポート運動をさらに進めていく上では、特に、県の将来を担う若い世代に、あいサポーターになっていただくことが、裾野を広げ、行動力を生かした力強い運動の広がりにつながるものと考えています。 このため、今後は、若者を対象とした研修を重点的に実施をすることとし、今年度は、新たに作成した児童向けの研修教材等を活用して、小学校低学年からの障害理解の促進を図るとともに、受講機会の多様化を図るため、オンライン研修を拡充するなど、若い世代の受講を促してまいります。 また、あいサポート企業・団体の増加に向けては、商工団体等に協力を頂きながら、障害のある方が利用する商業施設や公共施設、公共交通機関等に、この運動が広がるよう、引き続き取り組んでまいります。 さらに、現在、制定作業を進めている、差別解消と共生社会の実現を目的とした条例におきましても、障害への理解促進を主要な取組として位置づけることとしており、今後とも、県民や企業等と一体となって、あいサポート運動を推進してまいりたいと考えています。 私は、市町や関係団体等と連携をし、障害のある方もない方も共に暮らしやすい社会の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) インクルーシブ社会の実現に関する御質問のうち、まず、「この子には障がいがありますマーク」についてのお尋ねにお答えします。 障害の種類は多様であり、外見で分かる障害以外に、発達障害や内部障害、難病の方など外見から分かりにくい障害についても、障害特性への理解や必要な配慮の提供について促進を図ることが重要です。 このため、県では、こうした外見から分かりにくい障害のある方が必要な援助を受けやすくなるよう、やまぐち障害者いきいきプランにおいて、援助を必要としていることを伝えるサポートマークやヘルプマークの普及とその周知を図ることとしています。 お示しの民間の取組については承知していますが、県としましては、これまで、市町や関係団体等と一体となってサポートマークやヘルプマークの普及等に努めており、引き続き、こうした取組を通じ、障害のある方に対する合理的配慮の提供が促進されるよう取り組んでまいります。 次に、障害児に対応したトイレについてのお尋ねのうち、多目的トイレの整備促進についてです。 障害のある方が、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、日常生活や社会生活を制限する障壁のない社会の実現が重要であることから、県では、福祉のまちづくり条例に基づき、公共施設をはじめとした建築物のバリアフリー化を推進しています。 お尋ねの多目的トイレについては、条例において、多くの方が利用する公共的施設等に対して、設置を義務づけ、整備の促進を図っているところです。 また、整備に当たっては、障害のある方や建築の専門家等で構成する委員会を設置し、誰もが利用しやすいものとなるよう、設計の際に望まれる配慮や構造基準等を盛り込んだ設計マニュアルを策定するとともに、障害のある方の意見も反映しながら、適宜見直しを行っています。 このマニュアルは、市町や県建築士会等の関係団体に配付するとともに、広く県民の皆様にも知っていただけるよう、県のホームページ等にも掲載し、周知を図っているところです。 県としましては、障害のある方が、安心して外出し、施設を利用できるよう、今後とも、市町や事業者等の理解、協力を得ながら、福祉のまちづくりの推進に努めてまいります。 次に、放課後児童クラブ等に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、放課後児童クラブへの障害のある子供の受入れについてです。 障害のある子供が地域社会で生活する子供の一人として、他の子供とともに成長できるよう、放課後児童クラブを利用する機会の確保に努めていくことは重要です。 このため、県では、市町と連携し、放課後児童クラブへの障害のある子供の受入れが進むよう、適切な環境下で過ごすために必要な改修や設備の整備、専門的知識を有する支援員の配置などに取り組んでいるところです。 また、利用を希望する障害のある子供の保護者への周知については、ホームページなどを活用し、情報提供を行うとともに、市町に対しても、適切な情報発信を行うよう働きかけてまいります。 お示しの特別支援学校における放課後児童クラブの設置については、地域のニーズに応じ、実施主体である市町において適切に対応されるものと考えており、設置される場合には、県として、必要な支援を行ってまいります。 次に、放課後等デイサービスの日曜日実施についてです。 学校に通う障害のある子供が、身近な場所で心身の状況に応じた適切な支援を受けることができるよう、放課後等デイサービスの提供体制を確保することは重要です。 このため、県では、子供や家族のニーズに応じて、事業者が日曜日等の学校休業日にサービスを提供する際には、人員体制や学校休業日における報酬の取扱いなど、必要な助言を行ってまいります。 次に、児童発達支援についてのお尋ねにお答えします。 障害のある子供とその家族が、地域で安心して生活していくためには、市町や関係機関との連携の下、障害のある子供の心身の状況等に応じた切れ目のない適切な支援が重要です。 このため、県では、県内八か所の児童発達支援センター等において、就学前の障害のある子供とその家族が、身近な地域で療育指導や相談支援等を受けられる体制を整備しているところです。 また、より身近で気軽に相談ができるよう、発達障害児の子育て経験のある親等を対象に、必要な知識・技術を身につける研修を実施し、子育て中の保護者に対し、適切な助言等を行うメンターの育成にも取り組んでいます。 こうした障害児支援を一層充実させるためには、障害のある子供の家族の意見を幅広くお聞きし、取組に反映することが重要であることから、県では、障害者施策の総合的な推進について検討している障害者施策推進協議会等に、親の会などの団体に参画を頂いているところです。 なお、お示しの、子育てAIコンシェルジュについては、障害のある子供の保護者への子育て支援につながるよう、問答例について順次改善を進め、充実を図ってまいります。 県としましては、今後とも障害のある子供を育てる家族等からの御意見を頂きながら、障害児発達支援に関する施策を推進してまいります。 次に、障害児に対応した避難所についてのお尋ねにお答えします。 災害時に自らの生命・身体を守るためには、安全な場所に確実に避難していただくことが必要であることから、障害者や高齢者など要配慮者の避難先となる福祉避難所の確保は、重要であると考えています。 このため、県では、県内十四の福祉団体と協定を締結し、市町が行う福祉避難所の指定への協力や、広域的な福祉人材の派遣体制の整備など、福祉避難所の確保・運営を担う市町の支援に努めているところです。 こうした取組により、全ての市町で福祉避難所が確保され、現在では二百二十五か所となるなど、その数も年々増加しており、市町において、さらなる確保と分かりやすい周知に努めています。 また、要配慮者は、障害の状態や生活環境等がおのおの異なることから、市町において、本人や家族、関係者の同意の下、適切な避難先や避難支援行動をあらかじめ定めた個別避難計画の作成を進めており、県としては、担当者会議の開催や先進事例の提供など、積極的に支援を行っているところです。 県としましては、今後とも、市町との緊密な連携の下、福祉避難所の充実等を図り、災害時における要配慮者の安心・安全の確保に努めてまいります。 ○副議長(二木健治君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) インクルーシブ社会の実現についてのお尋ねのうち、インクルーシブ公園の整備についてお答えします。 近年、全国的にもインクルーシブ公園が注目されてきており、県としても、今後の公園づくりを進める上で、必要な視点であると考えています。 このため、山口大学との共同研究の中で、インクルーシブな視点も取り入れた公園の新たな利活用方策や、それに伴う施設整備の方向性について、検討しているところです。 その一環として、インクルーシブ公園に係るニーズや課題を把握するため、本年十月、山口きらら博記念公園において、民間事業者の協力も得ながら、インクルーシブに配慮した遊具を試験的に設置し、実際に遊具を利用した方へのアンケート調査等を行うこととしています。 県としては、今後とも、障害の有無等にかかわらず、多くの方が集い、誰もが安心して一緒に遊べる公園づくりに積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) インクルーシブ社会の実現についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、障害児の増加についてです。 お示しのとおり、本県においても特別支援教育の対象となる児童生徒は増加傾向にあります。これは、保護者等の特別支援教育への理解が進み、きめ細かな指導・支援への期待が高まっていることが要因の一つであると考えています。 県教委では、障害のある児童生徒の増加傾向を踏まえ、引き続き特別支援学校や特別支援学級などの学びの場の整備とともに、一人一人の教育的ニーズに的確に応えることができる指導・支援の充実に向けた取組を着実に進めてまいります。 次に、特別支援学校へのインクルーシブ遊具の導入促進についてです。 障害のある児童生徒にとって遊びは、心身の発達を促す大切な活動であり、特別支援学校において、障害の程度にかかわらず、安心して遊び、楽しめる環境を整備していくことは重要であると考えています。 こうした認識の下、お示しの岩国総合支援学校では、昨年度、老朽化したブランコの更新の機会を捉え、学校のニーズや必要性等も勘案して、インクルーシブ遊具を導入したところです。 県教委としましては、各学校が実施する遊びを取り入れた教育活動を支援していく中で、それらの取組を支えるインクルーシブ遊具のさらなる導入についても、学校の教育活動の状況や要望も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えています。 次に、教員へのインクルーシブ教育についてです。 共生社会の実現に向けては、全ての教員がインクルーシブ教育への理解を深めることが重要です。 そのため、県教委では、テキストを活用した校内研修の充実や、市町教委と連携した講習会の開催などにより、教員の理解促進に努めているところです。 今後は、こうした取組に加え、新たに作成する教員向けの研修動画を活用し、教員の共生社会やインクルーシブ教育への理解をさらに深めていくこととしています。 また、初めて特別支援学校に勤務する教員には、現在、各学校において年間を通して研修を実施していますが、今後は、指導主事等が各学校を定期的に訪問し、研修内容や指導方法等について助言を行うなどにより、教員の専門性のさらなる向上を図ってまいります。 次に、特別支援学校のトイレの実情と今後のトイレの改修についてです。 県教委では、令和二年度に、特別支援学校を含む全ての県立学校を対象としたトイレの洋式化に係る意向調査を実施し、その際、要望があった箇所について、集中的に洋式トイレへの改修を実施したところです。 これにより、令和四年四月時点で、特別支援学校の児童生徒が利用するトイレの洋式化率は七九・四%となっています。 今後も、校舎の改築等の機会を活用して、さらなる洋式トイレの整備を進めるとともに、児童生徒の状況の変化などで、洋式トイレの追加が必要となった場合にも、学校の要望等を踏まえながら、必要な整備を進めていくこととしています。 県教委といたしましては、インクルーシブ社会の実現に向けて、引き続き特別支援教育の充実に努めてまいります。 ○副議長(二木健治君) 本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。   ───────────── ○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時二十四分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   森   繁   哲   也                   会議録署名議員   猶   野       克...